研究課題
1型自己免疫性膵炎患者の膵組織においては、正常組織では存在しないとされている好塩基球が浸潤していることがわかった。さらにその好塩基球はTLR2もしくはTLR4を発現していた。末梢血中の好塩基球は、膵組織においてTLR4の発現した好塩基球が認められた患者では、末梢血好塩基球もTLR4リガンドの刺激で活性化した。TLR2が発現した好塩基球が膵組織において認められた患者では、末梢血好塩基球はTLR2リガンド刺激で活性化し、膵組織中にTLR2もしくはTLR4の発現した好塩基球が認められた患者の末梢血好塩基球はTLR2・TLR4いずれのライガンドでも活性化された。1型自己免疫性膵炎患者の末梢血中の好塩基球をTLRライガンドで刺激すると、TLR4で刺激されたものが有意に活性化した。また一部の患者ではTLR2ライガンド刺激で活性化することもわかった。以前我々はM2マクロファージが1型自己免疫性膵炎の病態生理に重要な働きをしていることを報告したが、喘息・アトピー性皮膚炎においては局所のM2マクロファージは好塩基球に誘導されることが知られていることより、1型自己免疫性膵炎においても好塩基球がM2マクロファージを誘導している可能性が示唆された。Watanabeらは1型自己免疫性膵炎患者末梢血中の好塩基球をTLR2もしくはTLR4で刺激すると、B細胞をIgG4産生細胞に誘導することを報告しており、好塩基球は1型自己免疫性膵炎において、M2マクロファージの誘導、IgG4産生、局所でのTh2免疫反応と様々な重要な働きをしていると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
ヒト末梢血中の好塩基球の解析は終了し論文を投稿できたため。
好塩基球の膵臓での局在も解析が終了しているので、来年度はマウスモデルの解析を行う予定である。
抗体を購入予定であったが予算内の金額で購入できなかったため。
次年度の実験予定である動物モデルに使用する抗体だったため、次年度の研究費と合算して購入する予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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