研究課題
自己免疫性膵炎(AIP)は本邦より発信された新しい疾患概念であり、現在日本でよく見られるIgG4の関与する1型と日本ではほとんど見られないIgG4の関与しない好中球病変が主体の2型に分類されている。我々は現在までに、本症患者では、胸腺由来のCD45RA+のnaive-Tregの減少が発症に関わり 抹消で誘導されるiTregが反応性に増加していることを見出した。この増加しているiTregのうちICOS+TregがIL-10を介してIgG4産生に関与しICOS-TregはTGF-βを介して線維化に関与している可能性も報告した。また制御性B細胞(Breg)については、CD19+CD24highCD27+Bregが減少することが発症に関与しCD19+CD24highCD38highBregは反応性に増加していることを見いだした。一方自然免疫反応の関与については、1型AIP膵組織にTLR7陽性M2 Mφが多数浸潤しており、線維化、Th2反応に関与している可能性について報告した。このMφは、通常組織には存在しない好塩基球が炎症局所において炎症性単球からM2 Mφへ分化されることが知られていることから、本研究では1型AIPの膵組織において好塩基球が浸潤しているのかをまず調べたところ13例中10例で浸潤が認められることを見出した。これらの浸潤した好塩基球はTLR2もしくはTLR4が陽性であり、膵切除を受けた患者末梢血中の好塩基球も膵組織と同じTLR刺激で活性化されることがわかった。さらに1型AIPもしくはアトピー性皮膚炎患者末梢血中の好塩基球はTLR4刺激で優位に活性化することを報告した。このことは1型AIPにおいては好塩基球によるM2マクロファージの誘導が重要な働きをしているものと推測された。また基礎的研究として、アレルギーモデルマウスを用いて本疾患のモデルマウスを作成を現在行っている。
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