研究課題
消化管の基本パラメータと蠕動を計測した。その過程で派生したアイデアから、消化管の3次元構造を広範囲に把握するパノラマ技術の開発に着手した。1)消化管の基本パラメータの計測:消化管の基本形状は円柱と半球である。円柱の直径および半球の容積を3次元内視鏡で算出した。ⅰ)円柱の直径 メスシリンダーを測定対象として管腔径を計測した。3次元内視鏡で得られたデプスマップデータを円でフィッティングさせ、その円の直径を算出した。たとえば、直径実測値14mmに対し、計算値12mmの結果が得られた。ⅱ)半球の容積 3Dプリンターで各種大きさの半球を作成して容積を計測した。3次元内視鏡で得られたデプスマップデータをフィッティングせずに直接容積を算出した。たとえば、理論値0.88mlに対して計算値0.93mlの結果が得られた。2)消化管の蠕動の計測:消化管の蠕動を模倣するドライモデルとして、布地を下から電動ステージで圧迫する系を構築した。電動ステージを複数の速度で移動させて3次元内視鏡で観測、現在データを解析中である。3)3次元内視鏡のパノラマ:1)で円柱を3D内視鏡で撮影するとき、遠くのデプスマップは必然的に精度が落ちることが問題となった。内視鏡を移動させながら撮影してデプスマップを合成すればパノラマ写真と同じように、消化管の3次元構造を広範囲に把握出来る可能性に気付いた。円柱を対象にして合成技術の開発に取り組んでいる。
3: やや遅れている
1)研究遂行において当初の予想よりもコンピュータのプログラミングに多くの時間を要したため、期待した程の進捗が得られなかった。2)研究の途中で予想しなかった新しい課題(派生技術、スピンオフ)が発生し、それの対応に時間を要したため。3)当初予定していなかった特許申請を検討したため。4)研究環境が複数の施設に分散していたところを一カ所に集中させたが、その調整に時間を要したため。
研究内容は当初予定していたものに新しい派生技術も加え、特許申請の可能性を常に考慮しながら研究を推進する。研究の律速段階はコンピュータのプログラミングであることから、より多くの人材をその部分に投入する。今後の研究で新しい派生技術が他にも発生することが考えられ、それも大事に育てる。
1)研究の進捗が当初の予定よりも遅延したため。2)研究目的で購入する予定であった器材の一部を他施設から借りることが出来たため。
研究費は当初の研究内容の他にそこから派生した新しい研究内容にも投資する。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件)
Int J Oncol.
巻: 46 ページ: 1551-1559
10.3892/ijo.2015.2851
Gastrointest Endosc.
巻: 82 ページ: 452-459
10.1016/j.gie.2015.01.022