研究課題
消化管の基本パラメータと蠕動を計測した。そのスピンオフとして消化管の3次元構造を広範囲に把握するパノラマ技術の開発に着手した。1)消化管の基本パラメータの計測:消化管の基本形状は円柱と半球である。円柱の直径および半球の容積を3次元内視鏡で算出した。ⅰ)円柱の直径:3次元プリンターで任意の大きさの円柱を作成し、3次元内視鏡で得られたデプスマップデータから円の直径を1割以内の誤差で算出出来ることを確認した。今年度はさらに実際の生体の消化管を対象とした測定を行った。現在解析中であるが、たとえば直径50mmの円柱の内側に生体の消化管を張り付けて内腔を観測すると、直径40mm程度の結果が得られた。なお、胃壁はおよそ5mmの厚みである。ⅱ)半球の容積:3次元プリンターで任意の大きさの半球を作成し、3次元内視鏡で得られたデプスマップデータから半球の容積を1割以内の誤差で算出出来ることを確認した。今年度はさらに実際の生体の消化管を対象とした測定を行い、現在解析中である。2)消化管の蠕動の計測:3次元プリンターで作成した蠕動波の波形を電動ステージで移動させ、3次元内視鏡で観測した。得られたデプスマップデータより蠕動波の頂点座標を算出すると1割以内の誤差で蠕動波の移動速度を算出出来ることを確認した。次に、この蠕動波の上に生体の消化管を留置し、電動ステージで動かし、3次元内視鏡で観測した。デプスマップデータから生体消化管の頂点は識別可能で、現在移動速度を解析中である。3)3次元内視鏡のパノラマ観測対象は円柱とした。円柱の内側の一点から三次元内視鏡で内腔を観察しても遠方の情報は得られないが、内視鏡を円柱に沿って移動させれば遠方の情報も得られる。そこで、内視鏡の位置情報を自ら判断しながら内視鏡近くの情報を継ぎ接ぎして円柱全体の内腔を再構築する技術を開発した。
3: やや遅れている
1)生体材料を用いたウエットな実験は、動物実験計画を立て、施設の承認のもと、動物実験施設で行っている。シミュレーションやファントムを用いたドライな実験に比べて実験の手続きが煩雑となり、実験が迅速には進まない。2)プログラミングに必要な時間が想定よりも多かったため。3)派生技術であるパノラマ観測の研究が予想よりも進捗が良好なため。
今後の研究で新しい派生技術が他にも発生することが考えられ、それらも大事に育て、特許申請の可能性を常に考慮しながら研究を推進する。
動物実験は当初高額な生体で行う予定だったが、安価な摘出された臓器で代替出来たため。
研究費は当初の研究内容の他にそこから派生した新しい研究内容にも投資する。
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Journal of Robotics and Mechatronics
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Proc. SPIE 10054, Advanced Biomedical and Clinical Diagnostic and Surgical Guidance Systems XV
巻: - ページ: -
10.1117/12.2250774
Carcinogenesis.
巻: 37 ページ: 972-984
10.1093/carcin/bgw085