研究課題/領域番号 |
15K09061
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
後藤 修 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00589658)
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研究分担者 |
竹内 裕也 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (20265838)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 内視鏡 / 腹腔鏡 / 胃癌 / 低侵襲治療 / 腹膜播種 / センチネルリンパ節 |
研究実績の概要 |
1)非穿孔式内視鏡的胃壁内反切除術+センチネルリンパ節流域郭清における臨床治療成績の評価:「リンパ節転移が疑われる前治療歴のない4cm以下の早期胃癌」を対象とし、先進医療の一環として前向き臨床研究が進行中である。 2)胃癌捺印細胞診の検討:内視鏡治療直後の早期胃癌に対して捺印細胞診を行う前向き臨床研究を行い、60例の症例集積を終えた。現在データ解析中であるが、癌部表面からの捺印細胞診のうち28%でclassIV以上の診断がなされており、癌細胞が接触によって容易に遊離することが明らかとなった。 3)胃癌モデルマウスの悪性化と腹膜播種に関する研究:野生型マウス(C57BL/6J)の胃体部に様々な条件下で外科的侵襲を加えたところ、縫合のみに比し切開・縫合処置において、またポリプロピレンに比し絹糸において局所の炎症反応が激しいことが明らかとなった。また、胃癌自然発生モデルマウス(K19-Wnt1/C2mE: Ganマウス)の扁平上皮-腺上皮接合部と胃体部それぞれに絹糸による切開縫合処置を行い15週後の変化を確認したところ、両部位ともに高頻度で腫瘍の形成を認めた。しかし、前者における明らかな高悪性化は認めなかった。 4)内視鏡治療前後における胃リンパ流変化に関する動物実験:胃を12の部位に分け、それぞれの部位に対して生体ブタ各1頭を用いて(計12頭)、内視鏡治療前後のリンパ流の変化を観察した結果、概ねリンパ流の変化は認めなかったものの、小弯側の処置においてリンパ流の変化を認めた症例が複数確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各プロジェクトにおいて、多少のばらつきはあるもののほぼ予定通り推移していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
1)非穿孔式内視鏡的胃壁内反切除術+センチネルリンパ節流域郭清における臨床治療成績の評価:データ解析を行うにはまだ症例数が少ないため、引き続き症例を集積する予定としている。 2)胃癌捺印細胞診の検討:class Vの症例に対して癌幹細胞マーカーの一つであるCD44vによる免疫染色を施行する予定である。 3)胃癌モデルマウスの悪性化と腹膜播種に関する研究:外科的処置部にCD44vが高頻度に発現していることから、Ganマウスに対して同様の外科的処置を施したのち、CD44vの機能を抑制する薬剤であるsulfasalazineを投与し、腫瘍形成能における変化を確認する実験を行う。 4)内視鏡治療前後における胃リンパ流変化に関する動物実験:データを解析し論文化する予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会へ都合により参加できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
積極的に学会発表を行い、情報を発信する予定としている。
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