研究課題/領域番号 |
15K09066
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
池主 雅臣 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40303151)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高血圧 / 自律神経興奮 / 不整脈 / カテーテルアブレーション / 神経電気刺激 |
研究実績の概要 |
腎動脈内に挿入した多極電極カテーテルを用いて、神経電気刺激による昇圧反応と速脈反応、心室期外収縮発症の部位特異性をマッピングした。大動脈側に位置する近位側、腎臓に近い遠位側、その中間部位に分けて検討を行った。遠位側での反応は、近位側に比して明瞭となる傾向であったが、実験個体差も観察された。神経電気刺激で心室期外収縮が発症する部位での昇圧・速脈反応は、心室期外収縮が発症しない部位よりも大であったことから、不整脈発症の有無は神経電気刺激で誘導される交感神経緊張の程度に依存する事が確認された。腎動脈近位側に対する血管内腔からの高周波カテーテルアブレーションは、焼灼部位の近位側だけではなく、腎動脈中間部、腎動脈遠位側からの神経電気刺激による昇圧・速脈反応も減弱させたことから、神経電気刺激による全身交感神経緊張亢進の機序は、遠心性神経刺激効果よりも、求心性神経興奮に依存する部分が大きい事が支持された所見と解された。また高周波カテーテルアブレーションに用いるエネルギーの適正量について、神経電気刺激の反応と組織学的変化の関係から検証を進めた。高エネルギーで誘導される血管損傷は、その後の動脈狭窄・閉塞の原因となる危険がある。一方、組織学的傷害の小さい低エネルギー通電でも一定の効果が得られるが、長期効果等が課題になると思われる。これらの研究成果は専門学術誌(Heart Rhythm 2016)、2017年度日本循環器学会総会(金沢)等で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎動脈内マッピングの所見から、神経電気刺激による昇圧反応と速脈反応、心室期外収縮発症に部位特異性がある事が支持された。また神経電気刺激による交感神経緊張亢進の機序は、求心性神経興奮に依存する部分が大きい事が確認され、心室期外収縮誘発も交感神経緊張に関与する事が支持された。高周波カテーテルアブレーションに用いるエネルギーの適正量についても検証を進めることができた。これらの研究成果は専門学術誌(Heart Rhythm 2016)、2017年度日本循環器学会総会(金沢)等で報告した。
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今後の研究の推進方策 |
考案した神経電気刺激法が腎動脈アブレーションの至適通電部位の同定、焼灼効果の判定にどのように活用できるか検証を進める。神経電気刺激に対する昇圧反応・速脈反応のマップ解析から、腎動脈内の至適通電部位を同定する方法を構築する。また腎動脈内高周波通電前後の神経電気刺激の反応ギャップ解析、腎動脈の組織学的検討から、適切な腎動脈高周波アブレーション通電モードを構築し、本治療法の効果と安全性に関する研究を推進させる。
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