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2018 年度 実績報告書

心房細動がもたらす凝固異常の病態解析と血液診断法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K09070
研究機関金沢大学

研究代表者

加藤 武史  金沢大学, 先進予防医学研究科, 特任准教授 (90456418)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード心房細動 / 心肝連関 / 塞栓症
研究実績の概要

心房細動における左房内血栓形成の機序として,左房内血流うっ滞,左房内皮障害,血液凝固能亢進の3要素(Virchowの三徴)が知られているが,血液凝固能亢進の機序は不明である.我々は,凝固関連分子の主要産生臓器である肝臓がこれに関与しているとの仮説を立て検討した.まず,肝生検を行った非アルコール性脂肪性肝炎症例から心房細動例と洞調律例を抽出し,DNAマイクロアレイ法を用いて肝組織の遺伝子発現プロファイルを比較検討した.その結果,アレイに含まれる54674のヒト遺伝子のうち,フィルターをかけた4322遺伝子が明確なクラスターを形成した.すなわち,ヒトにおいて心房細動群と洞調律群で肝臓の遺伝子発現プロファイルが異なることが明らかとなった.さらにパスウェイ解析を行ったところ,BioCartaで定義されている354のパスウェイのうち外因系凝固経路が心房細動患者の肝臓において最も著明に変化していた.次にSDラットにおいて1200回/分の高頻度心房ペーシングを行う心房細動疑似モデルを作成し,その肝臓・末梢血球・左房・脾臓における遺伝子発現を検討した.高頻度心房ペーシングモデルにおいて1200回/分の心房刺激は2:1から3:1の心室応答をもたらし,結果として高頻度心房ペーシング群の心拍数はsham群と比較して有意差を認めなかった.また,肝臓重量や動脈血液ガス,血中の肝酵素などの値についても,高頻度心房ペーシング群とsham群は同等であった.高頻度心房ペーシングラットの肝臓においてfibrinogen, prothrombin, 凝固第X因子, antithrombin Ⅲの発現が増加していた.高頻度心房刺激による肝臓のfibrinogen産生亢進機序の一部は,末梢血および肝臓内でのIL-6/STAT3経路の活性化を介していた.これらの知見は,心房細動とそれに関連する塞栓症の病態形成において心肝連関が存在することを示唆する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 心原性塞栓症の第3の機序:心房細動における心肝連関2018

    • 著者名/発表者名
      加藤 武史, 八重樫 貴紀
    • 雑誌名

      心電図

      巻: 38 ページ: 257-268

    • DOI

      https://doi.org/10.5105/jse.38.257

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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