研究課題
概要:地域保健のビッグデータを解析するため,本研究者は松本市歯科医師会,松本市医師会と協力して「医科歯科連携による先進予防医療研究会・松本(Dental and Medical Collaboration for the Advanced Medical Prevention: D-CAMP・松本)」を組織し,歯周疾患検診異常と全身疾患との関連を調査した結果,歯の本数が多様な全身疾患の存在と関連することが明らかとなった。目的:松本市で実施している歯周疾患検診の結果と,国民健康保険の診療報酬明細(レセプト)上の病類コードを突合し,歯周疾患検診異常と全身疾患の関連を明らかとする。方法:(対象)2008年4月1日~2016年3月31日の期間に松本市で歯周疾患検診を受診した6068例のうち,医療機関で国民健康保険による診療を受けた2574例。(調査項目)年齢,性別,残存歯数,健全歯数,喪失歯数,地域歯周疾患指数(community periodontal index: CPI)。各年度5月分のレセプト合計19367件より病類コードを抽出後,重複を削除しロジスティック回帰分析によりオッズ比を解析した。結果:歯周疾患検診で認める異常(残存歯数の減少,健全歯数の減少,喪失歯数の増加)は,脳心血管病(狭心症,心筋梗塞,動脈瘤,動脈硬化),および高血圧性疾患,糖尿病等の代謝性疾患の病名を有するリスクが高いことが示された。脳心血管病に対するオッズ比は,既存の危険因子で調整後も有意であった。さらに,残存歯数や健全歯数の減少,喪失歯数の増加は,骨の密度および構造の障害など骨格系の疾患名との関連が示された。結論:歯周疾患検診で認める異常(残存歯数の減少,健全歯数の減少,喪失歯数の増加)は,国民健康保険レセプト上の脳心血管病,代謝性疾患,骨の密度および構造の障害など骨格系疾患と有意な関連を認めた。
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