現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々はこれまで、Nicorandilに関して以下のことを明らかにし、報告してきた。 1)ウサギの冠動脈30分閉塞(虚血)、48時間再灌流モデルにおいて、梗塞サイズはコントロール群41%に対しNicorandil前投与群で25%に縮小する(Ohno Y, Int J Cardiol)。 2)経皮的冠動脈形成術を受けた患者で3分のバルーン拡張を行った際、Nicorandil前投与にて有意に心電図変化が抑制される(Matsubara T, J Am Coll Cardiol)。以上より、虚血心筋耐性、心保護作用のあるNicorandilは、同じく血管系臓器である腎臓に対しても、腎虚血耐性・腎保護作用があるのではないかという着想に至り、corandil持続点滴前投与による臨床研究を行なった。3)腎機能低下のある待機的PCI患者に対して、生理食塩水単独群とニコランジル群との無作為比較試験を施行した。その結果、造影剤使用2日後および1ヶ月後の血漿クレアチニンの上昇率は、Nicorandil群で有意に低く、造影剤腎症の発症率も有意に抑制された(Nawa T, Nishigaki K, et al. Circulation:Cardiovasc Int)。この研究は、米国心臓学会(AHA)2011で最優秀ポスター賞受賞の栄誉に輝いた。
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