研究課題/領域番号 |
15K09074
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
平敷 安希博 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 医師 (10418741)
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研究分担者 |
近藤 隆久 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00303644)
竹下 享典 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (70444403)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 右心不全 |
研究実績の概要 |
前所属の名古屋大学医学部附属病院で右心不全の代表的疾患である肺動脈性肺高血圧症(PAH)に関して、運動耐容能に基づく治療戦略を多施設共同試験として、前向きに臨床観察研究を行った。また、同時に左心系疾患による肺高血圧の病的意義に関しても報告した。 2017年度の研究業績として、無治療で新規に診断されたニース分類1群のPAH42例に、CPXを用いて治療効果判定を行い、効果が足りなければ、治療を追加していく目標設定型の肺動脈拡張薬の逐次追加併用療法(sequential combination therapy)を行い、その運動耐容能の推移を追跡していく研究を報告した。その結果、6ヵ月後に79%、12ヵ月後に82%にsequential combination therapyが行われた。CPXを用いた運動耐容能の指標は、PeakVO2, VE/VCO2slopeとも治療開始6ヶ月~12ヶ月において有意に改善した。単剤治療で十分な治療効果があると判断された症例も12ヵ月後の運動耐容能は有意に改善していた。さらに新たな指標として、peakVO2とpeak時の収縮期血圧の積であるcirculatory power, peak時の収縮期血圧をVE/VCO2slopeで除したventilatory powerを評価した。他の運動耐容能の指標より、Ventilatory powerは治療効果判定を鋭敏に捉えている可能性が示唆された。補研究結果から、CPXを指標とする積極的なsequential combination therapyは、運動耐容能を有意に改善させ、治療戦略として有用であることが示唆された。(Hirashiki, et al. Pulm Circ. 2017)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2016年4月に名古屋大学肺高血圧寄附講座から国立長寿医療研究センターに転勤となった。それにより、新たな施設の業務・研究遂行も並行して行うこととなり、想定より時間を要した。前施設においては客員研究生として引き続き連絡をとり、2017年度には研究成果を挙げることは出来ている。新規に診断したPAHに対し、治療介入における精神的な改善およびQOLの改善など、アンケートから得られた評価を元に治療反応の経時的変化の論文を作成し投稿した。しかし、主たる研究である肺高血圧の多施設前向き研究の論文掲載はまだできておらず、その成果は投稿目前の状況まで来た。
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今後の研究の推進方策 |
新規に診断したPAHにおいて多施設共同研究の運動耐容能評価に基づくsequential combination therapyを行う前向き群と従来の経験則に基づいた併用療法を行うヒストリカル群との総死亡の比較の結果が、primary end pointであった。これに関してほぼ解析は終了しており、エンドポイントの最終確認を第三機関に評価していただいている。1ヵ月後に論文投稿予定である。さらに症例を蓄積し,多施設における観察研究を継続し、新たな運動耐容能と右心不全の関連解析を進めていく所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年4月に名古屋大学肺高血圧寄附講座から国立長寿医療研究センターに転勤となった。それにより、新たな施設の業務・研究遂行も並行して行うこととなり、想定より時間を要した。前施設においては客員研究生として引き続き連絡をとり、2017年度には研究成果を挙げることは出来ている。しかし、主たる研究である肺高血圧の多施設前向き研究の論文掲載はまだできていない。しかしながら、その成果は投稿目前の状況まで来た。現在、第三者機関にイベントの最終確認の解析費用、人件費、英文校閲代、投稿および掲載費用などで次年度使用を予定している。
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