研究課題
心房細動患者の体表面心電図からQRSTをサブトラクションして得られた心房波のみの電位をFFT解析することにより、各誘導のDominant frequency (DF)が得られる。これは心房細動のrotor頻度とその部位を示すものである。持続性心房細動アブレーションン後の成績はaVl誘導とV1誘導のDFが高い患者で、心房細動再発が多く認められた。心房細動持続による心房リモデリングが進むと高DFを示すようになると考えられ、術前DFが高い患者では心房筋障害が進んでいた可能性が示された。さらに心房細動中の興奮伝播を左心房内に留置したバスケットカテーテルにより観察した。単極誘導心電図をNavXシステムを用いて解析し、左心房内のrotorを同定した。rotorは左心房前壁、後壁に最も多く認められた。アブレーションは肺静脈隔離を行い、再度rotorを観察すると、やはり左心房前壁と後壁に多く(69%)認められた。次いで後壁隔離にて後壁のrotorも同時に囲い込み、さらに前壁のrotor部位を焼灼した。24人中7人で通電中に心房細動は停止し、そのほかの患者では電気的除細動を行い、経過を観察しえた20人中12人で洞調律を維持している(3か月ー2年のfollow)。心房細動の持続にはrotorが関与している可能性があり、DFが高いとアブレーション後の再発が多い。また、rotorを同定し、その部位をアブレーションにて焼灼することにより、アブレーションの成功率をあげることができる可能性が示唆された。バスケットカテーテルによるrotor観察は、持続性心房細動の通電部位同定方法として有用である。
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