研究課題
根治困難な慢性心房細動治療のブレイクスルーになり得る渦巻き型旋回興奮波(ローター)・アブレーション治療が報告されたが、細動停止に至るメカニズムやその効果に関して十分明らかにされていない。本研究では、種々の病態下で生ずる心房細動の発生・維持に重要な役割を果たすローターを標的にしたアブレーション治療による細動停止機序を、活動電位光学マッピングシステムとコンピューターシミュレーションを組み合わせた手法を用いて解明する。最終年度は①心房虚血・梗塞誘発心房細動モデルを作成、光学マッピングの手法を用いて心房細動を維持する主要な興奮様式の同定を試みた。心房虚血/梗塞誘発心房細動の機序に酸化ストレスが大きく関与することを発見した。具体的には、酸化ストレスによるリアノジン受容体異常による撃発活動から心房細動が発生することの証明に成功し、前記の撃発活動を抑制することで、細動を駆動するローターへの移行が妨げられること、さらに、興奮様式が単純化することが判明した。また、心房虚血・梗塞誘発心房細動の発生はダントロレン(リアノジン受容体拮抗薬)の投与によって抑制されることを発見した。上記の結果を米国不整脈学会・日本不整脈心電学会・日本循環器学会会の年次集会で発表し、論文(Circ Arrhythm Electrophysiol.)として公開した。次に、②申請者が開発し特許申請済みの解析手法である位相分散解析(ローター検出法)がローターを容易に検出すること、ローターの再分極相に沿った弱い電気刺激の添加によってローターを容易に停止させることが出来ることを発見した。上記の結果を米国心臓病学会で発表し、論文 (Am J Physiol Heart Circ Physiol.)として公開した。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件) 図書 (1件)
Circ Arrhythm Electrophysiol
巻: 印刷中 ページ: in press
10.1161/CIRCEP.117.005659.
Am J Physiol Heart Circ Physiol.
10.1152/ajpheart.00558.2017.