研究実績の概要 |
歯周病菌が冠動脈プラークの形成に関与している可能性は指摘されているが、それを証明するデータは少ない。それを証明するために冠動脈内血栓からの歯周病菌の検出を試みている。 心筋梗塞を発症した患者が熊本大学循環器内科に入院してきた際に、冠動脈造影を行い、血栓があれば血栓吸引を行う。通常は廃棄されるその血栓をすぐに凍結保存して、後日、3つに分ける。1つ目の血栓は文献より歯周病菌のプラーマーを準備し、Porphyromonas gingivaris, Prevotella intermedia, Aggregatibactor actinomycetemcomitansの歯周病菌のリボゾームのDNAの検出を行った。また、次の血栓からはこれら3つの歯周病菌のリボゾームのRNAの検出を行った。歯周病菌の遺伝子はリボゾームの遺伝子により特異性があるとされている。残りの血栓を用いて免疫科学組織染色を行い、歯周病菌の検出を行った。 心筋梗塞や冠動脈形成術を受けた患者および比較のため、それ以外の患者から血液サンプルを得て炎症メディエーターであるTNFαを測定した。これは歯周病による炎症の程度を反映しているものと思われる。患者の血液凝固能を判定するために血中の組織因子やD-dimerを測定した。これにより血栓のできやすさが判定可能である。また、歯周病菌が血中に入っているかどうか確認するため血中エンドトキシン濃度を測定した。最近、高感度の測定法が開発されて測定可能となった。これらのデータと歯周病重症度の関連を検討していく予定である。
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