研究課題
冠動脈疾患患者については、順調に症例の蓄積が可能であった(現在連続372症例)。また、心房細動に対する高周波カテーテルアブレ-ション施行例も症例の蓄積が順調に進んでいる(連続148症例)。冠動脈疾患患者については、除外症例を除いた後、抗血小板剤非内服群56例、アスピリン内服群69例、アスピリン+クロピドグレル内服群149例の有効症例を得た。T-TAS値(PL-AUC)の測定結果は、非内服群(358±111)、バイアスピリン内服群(256±108)、アスピリン+クロピドグレル二剤併用群(113±91)と、バイアスピリン、クロピドグレルと加えることで段階的にAUCが低下することを確認できた。また、二剤併用群においては、クロピドグレル低反応性の主原因である薬物代謝酵素CYUP2C19の機能喪失遺伝子遺伝子を持つpoor metabolizer(PM)例でPL-AUC値が有意に高値であることが示されている。一方、心房細動に対する高周波カテーテルアブレ-ション施行例に対しては、アブレ-ション前、3日後(内服薬血中濃度トラフ時、ピーク時)、1ヶ月後にT-TAS値(AR-AUC)を測定した。20例を除外した128例中、ワルファリン内服群30例、新規経口抗凝固薬(NOAC)内服群98例が有効症例として抽出できた。ワルファリン群、NOAC群ともにアブレ―ション3日後のAR-AUCは低値となり、この値は1ヶ月後まで持続した。アブレ―ション周術期の出血性合併症に関しても、AR-AUCは有意に相関しており、AR-AUC値により、アブレ―ション手技による出血性合併症を予測できる可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
今回の対象症例は、当科に入院予定の冠動脈疾患、アブレ―ション予定の心房細動症例であり、単一施設による登録のため、登録自体はスムーズに進んだ。また、T-TAS測定は3年前から継続的に施行しており、採血から測定までの行程が既に確立している。また、その他の血小板機能検査(VerifyNow System)の測定系も確立しており、凝固機能検査であるPT, APTT, TAT, D-dimerに関しては保険診療の範囲内で施行することができた。
1. 今後も積極的なスクリーニングを実施し、適合症例の獲得に努力する。冠動脈疾患に関しては、今回得られたPL-AUC値がその後の心血管イベントや出血性合併症に相関するか否かを検討する予定である。心血管イベントおよび出血性合併症は入院中、1ヶ月後、3ヶ月後、6-9ヶ月後、1年後に評価し、全死亡、心血管死、非致死性心筋梗塞、心不全増悪、入院を要する不安定狭心症、予定しない再血行再建、脳梗塞及びその他の血栓塞栓症を調査する。2. アブレ―ションを施行した心房細動例においても、積極的なスクリーニングを実施し、適合症例の獲得に努力する。また、アブレ―ション3ヶ月後、6ヶ月後の心房細動再発率、出血性合併症とAR-AUC値の関連性を評価する予定である。また、アブレ―ション3日後のAR-AUC値と薬物血中濃度との相関性を評価する。
当研究はほぼ順調に計画が進行しているが、症例において一部凝固マーカーの測定が完了していない検体等があることが次年度使用額が生じた理由である。平成28年度に合わせて使用していく予定である。
平成28年度の研究費に加えて使用していく。今後も積極的なスクリーニングを実施し、適合症例の獲得に努力する。冠動脈疾患に関しては、今回得られたPL-AUC値がその後の心血管イベントや出血性合併症に相関するか否かを検討する予定である。アブレ―ションを施行した心房細動例においても、積極的なスクリーニングを実施し、適合症例の獲得に努力する。また、アブレ―ション3ヶ月後、6ヶ月後の心房細動再発率、出血性合併症とAR-AUC値の関連性を評価する予定である。また、アブレ―ション3日後のAR-AUC値と薬物血中濃度との相関性を評価する。
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