研究実績の概要 |
冠動脈疾患例、心房細動に対する高周波カテーテルアブレ-ション施行例の症例の蓄積は順調に進んでいる。この3年間の研究成果としては、合計8報の論文報告を達成することができた。冠動脈疾患に関する初期報告(Arima Y, Kaikita K, et al. J Thromb Haemost. 14, 850-859, 2016)に加え、平成28年度では、T-TASによる血小板血栓形成能と経皮的冠動脈インターベンション(PCI)周術期の出血性合併症の関連性についても検討した。当施設で抗血小板薬2剤(アスピリン+クロピドグレルまたはプラスグレル)内服下に待機的PCIを行った連続313例を対象とした。PCI施行前にT-TASによる血小板血栓形成能を評価し、周術期出血性合併症との関連性を評価したところ、T-TAS値は、抗血小板併用療法施行例における待機的PCI後の周術期出血性合併症の予測に有用であることが示唆された (Oimatsu Y, Kaikita K, et al. J Am Heart Assoc. 6, e005263, 2017)。一方、心房細動に対する高周波カテーテルアブレ-ション施行例に対しては、アブレ-ション前、3日後、1ヶ月後にT-TAS値(AR-AUC)を測定し、同様に周術期出血性合併症との関連性を評価した。その結果、アブレ―ション周術期の出血性合併症に関しても、T-TAS値は有意に相関しており、アブレ―ション手技による出血性合併症を予測できる可能性が示唆された(Ito M, Kaikita K, et al. J Am Heart Assoc. 5, e002744, 2016)。今後他の循環器領域のT-TASの動態を検討し、至適抗血栓療法のモニタリングを展開していく予定である。
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