研究課題/領域番号 |
15K09091
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
岡山 悟志 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40445052)
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研究分担者 |
岡本 恵介 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (90745423) [辞退]
中川 仁 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20533730)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 循環器 / 終末期医療 / アドバンスケア / エンドオブライフ / 心不全 / 緩和 |
研究実績の概要 |
最終年度は,2017年10月7日に当科主催で第28回 日本老年医学会 近畿地方会を開催した.本研究で得られた結果を基に,テーマを「より良い健康長寿社会を目指して.今,必要な医学と社会の変革」と設定し,市民公開講座「慢性心不全を多職種で,地域で診る.」を開催した.医療従事者のみならず一般市民に対しても,循環器領域におけるアドバンスケア・プラニングの重要性を,一部地域限定ではあるが,啓蒙することができた. 2018年3月までに終末期医療についての希望調査を実施しえた急性心筋梗塞入院患者は172人(66.5±11.5歳)であり,急性心不全入院患者は220人(72.8±13.1歳)であった.これらの患者について解析した.高齢患者の47%が終末期を迎える場所として大学病院を,5%が一般病院を,2%が施設を,46%が自宅を希望した.高齢患者は非高齢患者に比して蘇生処置を希望しない人が有意に多かったが(71% vs 26%,p < 0.005),約30%の高齢患者は蘇生処置を希望した.全患者の62%が終末期医療について家族と話し合ったことがなく,34%が医療関係者と終末期医療についての話し合いを希望しなかった. 終末期医療の希望を確認する時期については,全患者の29%が入院直後の急性期を,71%が治療後の安定期である退院直前や外来を希望した.全患者の76%が終末期には緩和医療を希望した. 終末期医療の方針は年齢で一律に決定することは難しく,事前に患者本人に確認することが重要である.終末期医療について家族と話し合ったことがない患者や,医療関係者と話し合いたくない患者が少なからず存在することから,今後は,アドバンスケア・プラニング の重要性を一般市民に対して啓蒙していくことが重要である.また,癌患者と同様に,循環器疾患患者においても緩和医療の需要は高く,今後は,循環器領域においても緩和医療を普及させていくことが重要である.
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