研究課題/領域番号 |
15K09092
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
水野 麗子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80398437)
|
研究分担者 |
藤本 眞一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70209097)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 右室機能 / 肺高血圧 / 心機能 / 三次元心エコー図 |
研究実績の概要 |
本研究では、複雑な三次元的形態を有するために従来から詳細な心機能の評価が困難であった右室に関して以下の2つを研究目的とする。1)三次元右室心エコー画像をもとに三次元右室分割モデルを構築し、右室各部位における心機能を収縮能および拡張能の両面から三次元的に詳細に評価し得る三次元的右室部位別心機能評価法を開発する。2)さらに、この新手法を用いて肺高血圧症および心不全における右室各部位の心機能と予後との関連を検討し、それぞれの病態において予後不良に最も関与する右室部位を特定するとともに予後不良の予測における右室各部位のリスク層別化を確立する。当該年度は、当初の予定通り、まずは、健常者の三次元右室モデルの作成を以下の行程で行った。1)幅広い年齢層および体格の異なる健常者(男性82例、女性71例)を対象にPhilips社製iE33を用いて三次元右室心エコー画像を収集した。2)次に、各症例毎に得られた三次元右室心エコー画像から各時相毎の右室各部位の三次元位置データをX、Y、Z座標軸上の座標データとして抽出した。3)各症例毎に抽出された座標データをもとに各時相毎の三次元右室モデルを構築した。4)各症例毎に構築された三次元右室モデルを以下の手順に従って6分割し、三次元右室6分割モデルを作成した。①まず、三尖弁輪外側から右室心尖部までの右室外縁の1/2の点をA点とした。②次に、右室心尖部から肺動脈弁外側までの右室外縁の1/2の点をB点とした。③A点とB点を結ぶ線の1/2の点をC点とした。④三尖弁輪内側と肺動脈弁輪内側を結ぶ線の1/2の点をD点とした。⑤A点とB点を結ぶ線およびC点とD点を結ぶ線により右室を3分割した。⑥次に、C点において厚み方向に自由壁側と心室中隔側に2等分することにより、⑤で作成された3分割をそれぞれさらに2つずつに分割し、最終的に合計6分画からなる三次元右室6分割モデルを完成させた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初の計画通り進展しているが、当初の予定より対象症例数が少なくなった。当初の予定では、健常症例男女それぞれ100例ずつを対象にする予定であったが、実際、当該年度には男性82例、女性71例しか検討できなかった。三次元右室心エコー画像からの各時相毎の右室各部位の三次元位置データの抽出に予想以上に時間を要したのが理由である。
|
今後の研究の推進方策 |
当該年度においては三次元右室心エコー画像からの右室各部位の三次元位置データの抽出に時間を要したが、症例を重ねるごとに作業時間が徐々に短縮できているため、今後はスピードアップを図ることが可能である。また、研究補助員にはこの行程に重点的に従事してもらうようにし、多数例の三次元位置データの抽出をなるべく迅速にできるように研究体制を整備する。
|