研究実績の概要 |
研究期間全体を通じて実施した研究の成果 方法 1)患者背景、自覚症状(心不全症状の有無)および治療内容(内服薬)、2)血清線維化マーカー(PINP[インタクトタイプIコラーゲン-N-ペプチド], PIIINP[タイプIIIコラーゲン-N-ぺプチド]ほか)および血清炎症マーカー(hsCRP[高感度C反応性蛋白]、PTX3[ペントラキシン3])の測定、3)心臓MRI(遅延造影法,LGE)を施行し、LGEの有無につき、心臓超音波上中隔の形態でReverse curve群と非Reverse curve群の2群に分け比較検討を行った。また、ICD植え込み症例については非植え込み症例と血清線維化および炎症マーカーについて比較検討した。結果 最終的に114名の肥大型心筋症症例が対象となった。Reverse curve 群は52症例、非Reverse curve 群は62症例であった。血清BNP値, 高感度トロポニンT値および血清ET-1 値はいずれもReverse curve 群で非Reverse curve 群より高値を認めた (434.4 pg/ml vs. 114.6 pg/ml, P<0.001; 0.020 ng/ml vs. 0.016 ng/ml, P<0.001; 1.78 pg/ml vs. 1.51 pg/ml, P=0.009)。血清高感度CRP値、PTX3値 および他のコラーゲン合成に関する生化学マーカーの値は両群間で差を認めなかった。Reverse curve 群は、心不全の重症度は重症であり、心電図上QRS 幅も広く (110.4 ± 24.4 msec vs. 102.1 ± 16.5 msec, P=0.033)、左房径も大きかった (44.0 mm vs. 40.5 mm, P=0.001)。心臓MRI上、遅延造影像を認めた症例は Reverse curve 群でより高率であった(81.1% vs. 56.7%, P=0.030)。結論 中隔の形態がReverse curveを呈する肥大型心筋症症例は、血清BNP値, 高感度トロポニンT値および血清 ET-1 値が高値であり、心筋障害及び線維化を示唆する心臓MRI上の遅延造影を認める割合も高率であった。
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