研究実績の概要 |
今年度、我々は剖検例に3種類の管電圧を用いて冠動脈CTの撮像をおこなった画像に対し新しいプラーク解析法を用いてそれぞれのプラーク病変を評価した。その結果、従来のカラーマップのみを用いた解析法に比べ、異なる管電圧間でもより相関の高い解析結果を得た(Takamura K, Fujimoto S, et al. The 81th Annual Scientific Meeting of the Japanese Circulation Society, Kanazawa, Japan 2017. 3)。この結果から異なる施設間で撮像条件が変化してもプラーク評価の定量性、客観性を保つことができることをコンピュータシュミレーションファントムだけでなく実際の冠動脈組織においても証明することができた。 本研究で計画している新しいプラーク解析法における臨床的プラーク解析精度の評価に関しては、あらゆる撮像条件下におけるIVUSやOCTといった既存の侵襲的手法結果との精度の比較を行うため、本年度多施設から症例の集積を開始した。また新しいプラーク解析法における心血管イベントの予測指標の確立に関しては、無症状からハイリスクな患者までのより多くの人々に対して、従来のリスク層別よりも高精度にスクリーニングするという本研究の最終目的を考慮し、無症候性糖尿病患者を対象に冠動脈CTを登録時と2年後に撮像し、新しいプラーク解析法の指標が2年間の心血管イベントやプラーク進展の予側因子となるかを評価する前向き観察研究の登録を開始し現在約60例が登録された。2018年1月より観察から2年後の冠動脈CT撮像も開始する予定である。
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