本研究では、ナトリウム利尿ペプチド(NP)の多彩な作用と病態への関与を検討した。臨床研究として、肥満は急性心不全時の血漿BNP濃度の上昇を抑制すること、またその抑制作用が冠動脈硬化を進展させる可能性があること、急性症候群ではインスリン抵抗性(IR)が増大することが明らかとなった。つまり、肥満などが基盤となり、血漿BNP濃度の不十分な増加はIRに伴う虚血性心疾患を引き起こす可能性が示唆された。基礎研究として、ラット褐色脂肪細胞においてA型NP(ANP)はp38のリン酸化およびuncoupling protein-1 (UCP-1)を介して熱産生を引き起こすことが示された。
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