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2016 年度 実施状況報告書

医工連携による心室細動の発現メカニズムの解明と新たな心臓突然死の予知指標の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K09103
研究機関東邦大学

研究代表者

池田 隆徳  東邦大学, 医学部, 教授 (80256734)

研究分担者 阿部 敦子  東邦大学, 医学部, 博士研究員 (40584644)
中沢 一雄  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 非常勤研究員 (50198058)
芦原 貴司  滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80396259)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード心臓突然死 / 心室細動 / 脱分極異常 / 再分極異常 / 自律神経活動異常 / コンピュータシミュレーション / 電気生理学的指標
研究実績の概要

工学的アプローチとしては、スーパーコンピュータを用いて、仮想心臓モデルによる心室細動の電気生理現象シミュレーション解析を行った。その結果、再分極異常および脱分極異常によって旋回性興奮の誘発が高まり、これらに自律神経活動異常が絡むことで、心室細動の持続が容易となることが明らかとなった。
平成28年度では、このような工学的アプローチで得られた研究成果を臨床的アプローチに応用した。具体的には、24時間Holter心電図を用いて、脱分極(伝導)異常、再分極異常、自律神経活動異常の指標の測定を実際の患者で行った。
東邦大学医療センター大森病院で心筋梗塞あるいは心筋症と診断された患者において、24時間Holter心電図を実施し、心電図特殊解析装置を用いて、脱分極異常指標として心室レイトポテンシャル(late potentials:LP)、再分極異常指標としてT波オルタナンス(T-wave alternans:TWA)、自律神経異常指標として心拍タービュランス(heart rate turbulence:HRT)と心拍減速キャパシティ(heart rate deceleration capacity:HRDC)を計測した。現在、得られた心室LP、TWA、HRT、HRDCのデータ集積を行っている状況である。
今後、患者の経過を追うことで、どの電気生理学的指標が心室細動と最も関連があるかを前向きに評価する。そして、得られたデータを個別に活用するのではなく、統合的かつ多階層的な活用を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の学術的な特色は、工学的アプローチと医学的アプローチの両面から心室細動の発現メカニスムを解明し、それを基に心臓突然死を予知する臨床指標を開発しようとしているところにある。
中間年度である平成28年度では、前年度の工学的アプローチであるコンピュータシミュレーションの結果を参考に、臨床的アプローチとしての実際の患者におけるデータ収集に取りかかることが出来た点が「研究の進捗状況がおおむね順調に進展している」とした理由である。
24時間Holter心電図を用いて、約100例の心筋梗塞あるいは心筋症患者において、心室レイトポテンシャル、再分極異常指標としてT波オルタナンス、自律神経異常指標として心拍タービュランスと心拍減速キャパシティの計測ができたことが研究の推進に繋がっている。

今後の研究の推進方策

平成27年度、28年度において、おおむね順調に研究が進展したことから、平成29年度においても、これを維持する方向で研究を推進する。平成29年度は最終年度に当たるため、患者数を蓄積することにも主眼を置く。最も有用な電気生理学的異常指標を選出するのと同時に、これまでとは性質が異なる新たな指標(パラメータ)の開発とこれら指標の統合的かつ多層階的な活用を目指す。
臨床研究は、東邦大学の阿部敦子氏(分担研究者)が中心となって、データの収集・解析を行う。その過程において、工学的シミュレーションを専門とする国立循環器病センター研究所の中沢一雄氏(分担研究者)、稲田 慎氏(連携研究者)、滋賀医科大学の芦原貴司氏(分担研究者)から方向性について助言していただく。総括は、研究代表者(池田隆徳)が中心となって行う。途中経過ではあるが、得られた知見を国内・国際学会で発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、名古屋で行う予定であった会議が、急遽、東京、大阪、滋賀の自施設において、Skypeを利用して行ったことによる。

次年度使用額の使用計画

使用計画としては、国内学会参加のための旅費、作成する英語論文のnative English speakerへのチェック料、データ解析にまつわる事務用品に当てる予定である。

  • 研究成果

    (19件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 図書 (10件)

  • [雑誌論文] Serum angiotensin-converting enzyme 2 concentration and angiotensin-(1―7)concentration in patients with acute heart failure patients requiring emergency hospitalization.2017

    • 著者名/発表者名
      Hisatake S, Kiuchi S, Kabuki T, Oka T, Dobashi S, Ikeda T
    • 雑誌名

      Heart and Vessels

      巻: 32 ページ: 303-308

    • DOI

      10.1007/s00380-016-0877-z

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Obesity is associated with the development of interstitial pneumonia under long-term administration of amiodarone in refractory atrial fibrillation patients.2016

    • 著者名/発表者名
      Koike H, Fujino T, Koike M, Shinohara M, Kitahara K, Kinoshita T, Yuzawa H, Suzuki T, Sato H, Fukunaga S, Kobayashi K, Ikeda T
    • 雑誌名

      Int Heart J

      巻: 57 ページ: 30-34

    • DOI

      10.1536/ihj.15-276

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Association of repeated defibrillation with outcomes for out-of-hospital cardiac arrest associated with ventricular fibrillation.2016

    • 著者名/発表者名
      Tsubota T, Honda M, Yoshihara K, Ikeda T
    • 雑誌名

      Toho J Med

      巻: 2 ページ: 53-60

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Efficacy and Safety of Oral Rivaroxaban in Patients with Non-Valvular Atrial Fibrillation Scheduled for Electrical Cardioversion.2016

    • 著者名/発表者名
      Enomoto Y, Ito N, Fujino T, Noro M, Ikeda T, Sugi K
    • 雑誌名

      Internal Medicine

      巻: 55 ページ: 1953-1958

    • DOI

      10.2169/internalmedicine.55.5315

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Study design and baseline characteristics of the EXPAND study: Evaluation of effectiveness and safety of Xa inhibitor, Rivaroxaban for the prevention of stroke and systemic embolism in a nationwide cohort of Japanese patients diagnosed as non-valvular atrial fibrillation.2016

    • 著者名/発表者名
      Ikeda T, Atarashi H, Inoue H, Uchiyama S, Kitazono T, Yamashita T, Shimizu W, Kamouchi M, Kaikita K, Fukuda K, Origasa H, Sakuma I, Saku K, Okumura Y, Nakamura Y, Morimoto H, Matsumoto N, Tsuchida A, Ako J, Sugishita N, Shimizu S, Shimokawa H
    • 雑誌名

      Tohoku J.Exp.Med

      巻: 240 ページ: 259-268

    • DOI

      10.1620/tjem.240.259

    • 査読あり
  • [学会発表] Risk stratification in Brugada syndrome using non-invasive techniques.2017

    • 著者名/発表者名
      IkedaT
    • 学会等名
      WORLD SUMMIT ON BRUGADA SYNDROME ABLATION
    • 発表場所
      Milan(Italy)
    • 年月日
      2017-02-17
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Noninvasive risk stratification techniques for sudden cardiac death.2016

    • 著者名/発表者名
      Ikeda T
    • 学会等名
      Asia Pacific Heart Rhythm Society (APHRS)
    • 発表場所
      Seoul(Korea)
    • 年月日
      2016-10-15
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Noninvasive risk markers in ICD patients.2016

    • 著者名/発表者名
      Ikeda T
    • 学会等名
      Cardiostim & EHRA & Europace 2016
    • 発表場所
      Nice(France)
    • 年月日
      2016-06-08
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Noninvasive electrocardiography in risk stratification for ICD implantation.2016

    • 著者名/発表者名
      Ikeda T
    • 学会等名
      43rd ICE(International Congress on Electrocardiology)
    • 発表場所
      Palma de Mallorca(Spain)
    • 年月日
      2016-06-05
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 別冊・医学のあゆみ:不整脈を科学する2017

    • 著者名/発表者名
      池田隆徳
    • 総ページ数
      150(71-78)
    • 出版者
      医歯薬出版株式会社
  • [図書] Annual Review 2016循環器2016

    • 著者名/発表者名
      藤野紀之、池田隆徳
    • 総ページ数
      280(145-151)
    • 出版者
      中外医学社
  • [図書] 循環器疾患最新の治療2016-20172016

    • 著者名/発表者名
      池田隆徳
    • 総ページ数
      626(319-323)
    • 出版者
      南江堂
  • [図書] 心電図検定 公式問題集&ガイド:改訂第2版2016

    • 著者名/発表者名
      池田隆徳
    • 総ページ数
      128
    • 出版者
      メディカ出版
  • [図書] 超・EPS・入門2016

    • 著者名/発表者名
      池田隆徳
    • 総ページ数
      154(136-139)
    • 出版者
      南江堂
  • [図書] 循環器薬物治療実践シリーズ12 自律神経と不整脈2016

    • 著者名/発表者名
      池田隆徳
    • 総ページ数
      84(71-84)
    • 出版者
      ライフメディコム
  • [図書] CIRCULATION Up-to-Date Books14 心不全×不整脈2016

    • 著者名/発表者名
      池田隆徳
    • 総ページ数
      275(62-73)
    • 出版者
      メディカ出版
  • [図書] オールインワン不整脈治療2016

    • 著者名/発表者名
      池田隆徳
    • 総ページ数
      255
    • 出版者
      メディカ出版
  • [図書] 心室頻拍のすべて2016

    • 著者名/発表者名
      池田隆徳
    • 総ページ数
      343(18-27)
    • 出版者
      南江堂
  • [図書] 抗血小板療法 エキスパートの“勘どころ”2016

    • 著者名/発表者名
      池田隆徳
    • 総ページ数
      214(202-204)
    • 出版者
      南江堂

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公開日: 2018-01-16  

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