研究課題
メタボリック症候群は、心房細動(AF)の進行に寄与するだけでなく、AFの合併症である脳塞栓症リスクを上昇させる。しかし、メタボリック症候群により促進される心房筋の電気的、構造的リモデリングや、脳塞栓症の発症の素地となる血栓形成の正確なメカニズムは明らかになっていない。本研究では、メタボリック症候群によって促進された心房筋の構造的リモデリングの機序と脳塞栓症を引き起こす左房血栓形成の機序を解明するために動物実験および臨床研究を行った。ビーグル犬15頭を対象に高カロリー食を給与し、16週にペースメーカ植込みを行い、4~8週間高頻度ペースメーカ刺激を行う群 (MeS-AF群:5頭)、通常食を給与し、16週に4~8週間高頻度ペースメーカ刺激を行う群 (AF群5頭)、通常食を与える対照群(5頭)に分類した。全15例、20~24週に電気生理学的検査を行った。電気生理学的検査:MeS-AF群、AF群は対照群に比較し、心房及び肺静脈の不応期は短く、右房連続刺激による平均AF持続時間は長かった(3.7秒, 2.6秒 vs. 0.6秒)。各種バイオマーカー:MeS-AF群は、AF群、対照群に比較し、インスリン濃度、Dダイマーが高値の傾向を呈した。組織学的検討:MeS-AF群は、AF群、対照群に比較し、心外膜側から左房壁内への脂肪浸潤が有意に見られた。以上から、MeS-AF群、AF群ではAFを発症させる電気生理学的基質を有し、特にMeS-AF群では脂肪浸潤という組織学的にAFに関連しうる素因が存在していると考えられた。臨床研究:アブレーションを施行したAF患者80例において、アブレーション後に左房縮小がみられた43例の特徴を調査した。BMI、メタボリック症候群、心エコーにて計測した心外脂肪の厚さが左房縮小を抑制する因子であった。また、心外脂肪の厚さはアブレーション成功群で縮小する傾向が見られた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Current Cardiovascular Risk Reports
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