研究課題
本年度に行った研究の目的は、急性心筋梗塞患者における血清fibroblast growth factor-23 (FGF23)と心臓リモデリング・心機能との関連を明らかにする事である。本年度は、本学附属病院へ緊急入院となり、緊急冠動脈血行再建術が行われた44例の急性心筋梗塞患者を対象に急性期におけるFGF23の経時的推移、および急性期FGF23値と慢性期における心機能変化の関連につき検討を行った。経皮的冠動脈形成術前のFGF23値は腎機能と負の相関を認め、心筋逸脱酵素との関連は認めなかった。FGF23値は第1-3病日には治療前値に比べ有意に低下し、第5-7病日には有意に上昇していることが判明した。非心筋梗塞患者を対象にプロペンシティスコアマッチングを行い、心筋梗塞患者急性期にはFGF23値が減少する可能性を示した。また、急性期のFGF23上昇率と慢性期における左室駆出率とは有意な負の相関が認められる事が明らかになった。本研究で急性心筋梗塞患者における急性期FGF23の経時的推移と慢性期心臓リモデリングとの関連につき検討した結果を、学会発表および論文化を行った。血清FGF23が心臓リモデリングのバイオマーカーになる可能性が示唆され、今後FGF-αKlotho系が心臓リモデリング予防の治療ターゲットになる可能性が示された。今後、抗FGF抗体薬が導入され、FGF23と心臓リモデリングとのメカニズムについて新たな知見が明らかにされる事を期待する。
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