研究課題/領域番号 |
15K09107
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
寺崎 文生 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20236988)
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研究分担者 |
石坂 信和 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20270879)
藤田 修一 大阪医科大学, 医学部, 助教 (80722628)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | サルコイドーシス / リンパ節 / ウイルス / 細菌 / PCR法 / 網羅的検索 |
研究実績の概要 |
初年度(平成27年度)の研究結果では、サルコイドーシス患者群と対照群において、血清抗VZV抗体価に有意差を認めず、また、サルコイドーシス患者の全ての生検試料において、VZV-DNAが検出されなかったことから、サルコイドーシスにおけるVZVの病因論的意義は髙くない可能性が示唆された。そこで、本年度(平成28年度)は、サルコイドーシスの病原微生物を特定する可能性を求めて、水痘・帯状疱疹ウイルス以外のものも含めて、病原微生物を広く網羅的に探索することに、研究計画を修正して推進した。 その結果、当初サルコイドーシス患者の一部の生検試料において、Propionibacterium acnes (P.acnes)の遺伝子が検出された。これは環境内には存在しないが、パラフィン切片を作成する際に標本作成者の手指などからしばしばcontaminationすることがよく知られている。それを排除するため、対照群を含めて生検サンプル数を増やして再度追加実験を行い、その際、標本作成時に手袋とマスクを着用して、さらに清潔な刃を用いてcontaminationの防止に細心の注意を払った。その結果、174種類のウイルスと75種類の細菌・真菌の網羅的検討において感染性微生物の遺伝子の存在は証明されなかった。サルコイドーシスの肉芽腫内に活動性の感染性微生物が存在する可能性は低いことが示唆された。 従来より、サルコイドーシスの病因として感染性微生物、とくにMycobacteriumとPropionibacterium の関与が検討されてきたが、未だに結論は出ていない。本年度(平成28年度)までの我々の研究結果からは、活動性の感染性微生物の関与の証左は得られていない状況となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度(平成28年度)は、サルコイドーシスの病原微生物を特定する可能性を求めて、水痘・帯状疱疹ウイルス以外のものも含めて、病原微生物を広く網羅的に探索することに、研究計画を修正して推進した。その結果、174種類のウイルスと75種類の細菌・真菌の網羅的検討において感染性微生物の遺伝子の存在は証明されなかった。サルコイドーシスの肉芽腫内に活動性の感染性微生物が存在する可能性は低いことが示唆され、一定の研究成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
1) 病原微生物遺伝子の網羅的探索に関して、サンプル数をさらに増やして検討する。 2) これまでの網羅的検討において、MycobacteriumとPropionibacteriumを含めて、感染性微生物の存在は証明されなかった。サルコイドーシスの肉芽腫内に活動性の感染性微生物が存在する可能性は低いと思われる。しかし、何らかの抗原が契機となって、宿主側の要因と相まって、免疫応答が進行してサルコイド肉芽腫が発症することには相違ないと考えられている。それらの抗原が何であるのか、感染性微生物の遺伝子ではなく、いわゆる「関連蛋白」の可能性もあり、今後、感染性微生物「関連蛋白」の検討も含めて研究を推進していくことも考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
持越し金額は多額ではなく、概ね順調に使用されたと考える。
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次年度使用額の使用計画 |
基本的に、病原微生物遺伝子の網羅的探索を継続するに際して、PCRのための試薬、キットの購入にあてる予定である。
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