研究実績の概要 |
病理組織学的評価:当院病理部と共同研究を実施中である。病理部データベースより過去10年間(2006年から2016年)に心筋生検を実施した症例を抽出、EFを50%以上、年齢50歳以上をカットオフクライテリアとすると心不全患者(HFpEF)が42例、非心不全患者35例が抽出された。ここで近年、冠微小血管数と加齢や炎症との関連性を示唆する報告が相次いで公開されている(JAHA, doi: 10.1161/JAHA.115.001770, Circ Heart Fail., DOI: 10.1161/CIRCHEARTFAILURE.117.004179)。そこで本研究では予定していたCD31の免疫染色に加え加齢の指標であるp53関連シグナルやマクロファージ関連の免疫染色を追加して行うこととした。まずプレリミナリーに上記の免疫染色の条件設定を実施、昨年度中に免疫染色の条件設定が完了した。さらに今年度は病理解析システムを新たに導入(Definiens Tissue Studio)した。これにより組織学的評価において自動的かつ客観的な定量が可能となる見込みである。既に免疫染色の条件設定も終了しており、今年度は上記の検体に対し追加染色と病理解析システムを利用した半定量を行う予定としている。 動物実験モデル:当センター研究所と共同研究を実施中である。急性期実験の結果、最適なマイクロスフェアの投与量を確定した。ただ動物に投与する際の冠動脈のエンゲージが困難であった例もありカテーテルの種類選定などの再検討を行った後に今年度は慢性期実験を行う予定である。 血中バイオマーカ:190例の急性心不全患者に対して計4回の血液検査を実施した。解析についても既に完了しており、HFpEF患者においてproBNPのプロセッシングの経過が収縮性の低下した心不全患者と異なることを見いだしている。現在論文を投稿中である。
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