研究課題/領域番号 |
15K09114
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
野口 暉夫 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (70505099)
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研究分担者 |
安田 聡 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, その他部局等, その他 (00431578)
浅海 泰栄 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (20629315)
飯田 秀博 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 非常勤研究員 (30322720)
中尾 一泰 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (40730619)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 冠動脈プラーク / 画像診断 / 動脈硬化 |
研究実績の概要 |
3つの課題に対する研究成果を以下に示す。 1.ヒト剖検心を用いて、MRI非造影T1強調画像法にて描出される高輝度冠動脈プラーク(冠動脈HIP)の高輝度の原因となっているプラークの構成成分の同定:剖検心41例のMRI画像とCT画像を撮像し、冠動脈HIPの高輝度の機序として冠動脈プラーク内出血が主な原因であることを確認した。本研究の成果を現在論文作成中である。 2.虚血性心疾患患者に対して、抗動脈硬化作用が証明されているオメガ-3エチル脂肪酸(EPA/DHA製剤)を投与し、冠動脈HIPの輝度が抗動脈硬化作用と比例して減弱するか前向き薬物介入試験を行う:これまでに前向きに86例を登録し、介入1年後のMRIおよびCT画像を2019年2月までに終了する予定である。 3.自然発症冠動脈硬化ブタモデルを用いて3テスラMRIとPETを用いて撮像し、冠動脈プラークの成長過程(不安定化)を時間軸にそっての評価:自然発症LDLレセプター欠損・ホモ冠動脈硬化ブタモデルは、マウス・ウサギ動脈硬化モデルとは大きく異なり、通常食下で年余を経てヒトと類似した多彩な冠動脈硬化を呈し(プラーク破綻像に加えて、冠動脈近位部にプラークが集積し末梢にはあまり認めない)、野生型と比較すると死亡率が有意に高いことが分かった。ヒト冠動脈硬化の病態に最も近いモデル動物を作成し、冠動脈プラーク不安定化を解明する基盤技術を確立することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)ヒト剖検心は41例以上のMRI画像とCT画像が撮像でき、病理学的に評価できる充分量の検体を集められた。2)オメガ-3エチル脂肪酸(EPA/DHA製剤)による前向き介入研究は目標90例であったが、86例まで登録できた。3)ヒトの冠動脈硬化の病態に最も近づいたLDLレセプター欠損・ホモ冠動脈硬化ブタモデルを作成しえた。
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今後の研究の推進方策 |
私たちの研究をさらに発展させ、MRを用いた分子イメージングをより精度の高い診断法にするためには、3つの点を明らかにする必要がある。 1)MRにて高リスクと認識された冠動脈HIPの分子病理学的な特徴は何か?2)MRイメージングの撮像法およびプラーク解析の最適化・簡素化が図れないか?3)冠動脈HIP(不安定プラークの程度)と心筋虚血発症のメカニズムは何か? 以上の課題に対応するために、冠動脈に中等度狭窄を有する症例に対してMRプラークイメージングを行い、冠動脈造影時に冠血流予備能(Fractional flow reserve: FFR)を測定し、冠動脈HIPの輝度の強さ(不安定性)と、心筋虚血の程度(FFR値)の相互作用を 前向きに解明する。また、冠動脈HIPの輝度の定量評価に用いる半自動画像解析プログラム-quantitative HIP analysis software (q-HIP)-の臨床的有効性の検証を行うことが必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初申請書に記載・予定していた動脈硬化ブタの入手が出生・発育の問題で遅れ、平成30年2月下旬より実際に連携研究者より入手可能となったことから、同動脈硬化ブタの研究を行うことが可能となった。したがって研究期間を1年延長しました。
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