研究実績の概要 |
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は、予後不良の疾患であり治療法の確立が必要とされている。われわれは、カテーテルを用いた肺動脈形成術(BPA) による治療を確立し、その効果の機序を解明することを目標に研究に取り組んできた。 我々が確立したPTPAの方法により脂質代謝、糖代謝などのパラメーターが改善することが全身状態を改善し、予後を改善させることをCirculation Jouenal誌へ報告した(Tatebe S, Sugimura K, etal. Circ J. 2016.80(4):980-8.)。また、PTPAは右心室だけでなく左心室の機能も改善することも明らかにした(Sato H, Sugimura K, et al.Circ J. 2016;80(6):1470-7.)。そしてPTPAは肺内シャントを改善させることで酸素化に対しても効果があることが分かった(Circ J. 2016 80(10):2227-34)。またDual Energy CTはCTEPH患者における重症度を評価できることを明らかにし、新たな画像診断の有用性を示した(Takagi,H, Sugimura K, at al.Eur J Radiol. 2016;85(9):1574-80.)。またCTEPHの原因として、血栓における線溶抵抗性にTAFIが関与することを報告した(Yaoita N, Sugimura K, et al.Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2016;36(6):1293-301.)新たな画像技術である4Dflow画像によりBPA前後の肺動脈内の渦流の改善を報告した(Ota H, Sugimura K, et al. Eur Heart J. 2015 36:1630.)。そして、BPA治療を行った77名(424セッション)において、治療成績と合併症を詳細に検討し、長期予後改善効果を示した(5年生存率: BPA群vs従来治療群; 98.4% vs 77.5%,P<0.01)(Aoki T, Sugimura K et al.Euro Heart J 2017 38:3152-3159.)。
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