研究課題/領域番号 |
15K09118
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
川尻 剛照 金沢大学, 医学系, 准教授 (90345637)
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研究分担者 |
野原 淳 金沢大学, 保健管理センター, 助教 (50313648)
多田 隼人 金沢大学, 大学病院, 助教 (90623653)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高比重リポ蛋白 / 動脈硬化 / 全エクソームシーケンス |
研究実績の概要 |
動脈硬化症予防を目的に、症例に立脚した高比重リポ蛋白(HDL)代謝異常症の病態解明を目指した研究を引き続き試みている。発端者は①著明な高HDLコレステロール血症(170mg/dL)と②著明な低HDLコレステロール血症2例である。 ②低HDLコレステロール血症患者2人(症例1:28歳女性、HDLコレステロール値2mg/dL、症例2:35歳女性、同6mg/dL)と2人の両親(HDLコレステロール値37mg/dL、41mg/dL)、4人の非血縁正常者(平均HDLコレステロール値107mg/dL)の計8人を対象に全エクソームシーケンスを行った。 305,202個の遺伝子多型が見出され、SnpEffを用い良性変異を除外した結果、21,708個のナンセンス変異、ミスセンス変異、スプライス部変異が同定された。さらに1%以上の頻度を認める変異を除外した結果5,192個の変異に絞られ、劣性遺伝に合致する変異、C-スコア10点未満の変異を除外した結果、ABCA1遺伝子変異c.6230C>A、c.6137G>A、c.2842>A、c.1130C>Tが残り、症例1はc.6230C>A/c.6137G>A、症例2はc.2842>A、c.1130C>Tのそれぞれコンパウンドヘテロ接合体(Tangier病)と診断された(Tada H, Kawashiri M et al. Atherosclerosis 240:324-329;2015)。 ①著明な高HDLコレステロール血症の原因「分子X」遺伝子を培養細胞に導入し、コレステロール引き抜き能を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
全エクソームシーケンス法で著明な低HDLコレステロール血症(2、6mg/dL)2例の遺伝子解析を終了した。新規遺伝子ではなかったため機能解析は見送った。 著明な高HDLコレステロール血症(170mg/dL)症例に見出された新規候補「分子X」の機能解析に着手した。遺伝子改変動物を用いた検討は経済的に困難であり、培養細胞を用いたコレステロール引き抜き研究を優先し着手した。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子導入培養細胞を用いたコレステロール引き抜き研究を展開する予定である。本研究は防衛医科大学校の研究グループが過去に行っている。共同研究を視野に研究を進める方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、研究代表者の臨床医としての業務が多忙となった上に、卒業を控えた大学院生の指導や実父の病気入院時の世話などが重なったため研究に十分な時間を割くことが困難であった。 繰り越した研究費は、培養細胞を用いたコレステロール引き抜き実験にあてる予定である。
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