研究課題/領域番号 |
15K09125
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
樽谷 玲 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (60612942)
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研究分担者 |
西口 毅 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (40549771)
田中 篤 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50458072)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Vasa vasorum / OCT / 冠動脈 / 動脈硬化 |
研究実績の概要 |
正常血管では血管内膜へは血管内腔から直接、また中膜や外膜へはvasa vasorumから酸素や栄養が供給されている。しかし動脈硬化進展に伴い、血管内膜が肥厚すると血管内腔から血管壁への酸素供給が不十分となり、代わりにvasa vasorumが増殖し酸素や栄養の主な供給源となるため、動脈硬化進展にvasa vasorumが重要な役割を果たしていると考えられている。動物実験結果からvasa vasorumの増殖と動脈硬化進展との間に関連性が示唆されている。しかし、これまでの報告はすべてex vivoや剖検例での極めて少数例の報告である。また生体内でvasa vasorumを画像化する方法がなかった事もあり、客観的な定量評価も不可能であった。 近年我々のグループは光干渉断層法(OCT)を用いた冠動脈粥状動脈硬化病変内のvasa vasorumの存在が冠動脈内粥状動脈硬化の不安定化に関係している事を見いだした。しかし、第2世代OCTを含め商用OCTの血管長軸方向の解像度は200μm以上であるため、平均30μmとされるvasa vasorumを生体内で3次元的に検討する事は困難である。さらに近年我々は血管長軸方向の解像度が3μmの高解像度カテーテル型OCT(HD-OCT)システムのプロトタイプ開発に成功した。 上記の背景をふまえ、本研究の目的は以下の4点である。①血管長軸方向の解像度が3μmのHD-OCTシステムを完成させる。②HD-OCTが動脈硬化病変内に存在するvasa vasorumを生体内で画像化し、自動解析する画像解析システムを明らかにする。③正常冠動脈及び動脈硬化病変のvasa vasorumの3次元解剖構造を明らかにする。④Vasa vasorumが動脈硬化病変の影響血管として、その発生・進展・不安定化に重要な役割を果たしているという仮説をヒトで証明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の概要に示した目的のうち、①および②に関しては現在、シンガポールI2Rと共同で開発しており、そのプログラム開発がおおむね終了した。③および④の解析が終了し、論文化する事ができている(Taruya A et al. J Am Coll Cardiol. 2015;65(23):2469-77)。
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今後の研究の推進方策 |
Vasa vasorumのうちの特定の3次元構造がプラークの不安定化に関与している事を解明した事をふまえ、系時的な検討を今後予定している。 ①・②に関しては、今後汎用化するため、プログラムの簡素化を図っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は予定していた病理標本等の作成ができなかったため、その分の経費を使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
vasa vasorumのplaque ruptureへの関与を解明するための動物実験およびOCTシステムの開発を行うため、昨年度できなかった病理標本の作製を含め、各種実験器具を購入する予定である。
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