研究課題
可溶型LR11濃度が、PAH患者で上昇していることを見出しているが、本研究では前向き研究を行い、診断、治療効果判定のバイオマーカーとして確立を目指すと同時に、PAHへの新たなる治療薬の開発に挑む。肺高血圧症を疑う症例対し、血清sLR11濃度を測定、PAHの有無及び、肺高血圧症ニース分類2群(左心疾患による肺高血圧症)、3群(呼吸器疾患に伴う肺高血圧症)4群(慢性血栓塞栓性肺高血圧症)と鑑別をすることで、血清学的バイオマーカーのカットオフ値を明らかにする。現在、2群PH(左心疾患に伴うPH)である僧房弁閉鎖不全症に伴うPHでは、PH(-)群と比し、PH群でLR11濃度が有意に上昇しており、更なる検討を行っている。LR11欠損マウスを用い、低酸素惹起性肺高血圧発症の抑制を証明した。本研究期間ではヒトPAH病理像を再現するモデルとして開発された肺高血圧ラットモデル(VEGF受容体拮抗薬(Sugen 5416)皮下注+低酸素3週飼育+常酸素10-11週飼育)(Abe K.Circulation 2010)を用い、経時的に肺組織中LR11発現を分子生物学的手法で解明する。病理所見とLR11発現の関係を見ることで、実際にヒトでみられる病初期(中膜肥厚)から末期(plexiform lesion)で、LR11がどの時期に発現し重要か、明らかになる。また血清sLR11濃度を測定しバイオマーカーとしての有用性を明らかにすることで臨床研究でのバイオマーカーとしての裏付けができる。Sugen肺高血圧ラットモデルでは、LR11濃度の上昇が、経時的にみられておらず、そのメカニズムを検討している。。
3: やや遅れている
LR11濃度測定は、ELISAを用いて解析するため、出来れだけ、同時に検体測定を行うため、臨床研究での遅れが出ている。また、ラットモデルでは、LR11発現が、経時的でないため、更なるメカニズムを検討している。
測定後の解析を外部委託にすることにより、解析時間の短縮が期待される。
LR11濃度測定を一括して行う予定であり、そのための試薬を前年度購入していない為、使用額が当初の予定より少なくなっている。
今年度、患者サンプルを一括して行い、dataを集積し、学会発表、論文投稿を行っていく予定である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology
巻: 36 ページ: 1972-1979
10.1161/ATVBAHA.116.307900.