sLR11濃度が診断及び治療の効果判定のバイオマーカーとして確立と肺動脈性肺高血圧症の病態解明をSugen肺高血圧モデルラットを用い検討した。 肺動脈性肺高血圧症(40症例)において、血清sLR11濃度は10.9ng/mlと正常コントロール群と比較し有意に上昇していた。WHO機能分類では、各群では有意差は認めなかったが、6分間歩行距離と血清sLR11濃度では、負の相関(r=-0.424、p=0.014)を認めたことよりsLR11濃度が重症度が重症度の指標になる可能性が示唆された。肺高血圧治療のバイオマーカーとしてsLR11濃度が有用であるか検討したが、経口薬及びPGI2持続静注治療薬投与患者のsLR11濃度を比較すると経口薬では12.7±4.9ng/ml (n=18)、PGI2持続静注群で8.7±4.2ng/ml (n=16)と有意に静注群でLR11濃度が低下しており、高容量PGI2投与により血管平滑筋細胞増殖が抑制している可能性が示唆された。 肺高血圧ラットモデルでは、病初期では中膜平滑筋肥厚が見られ、肺組織LR11発現は上昇し1.8倍に増加しplexiform lesionを呈する末期では、減少した。中和抗体について検討したが、現時点で肺高血圧モデルに対し有用な抗体は開発できていない。 以上の臨床研究、基礎研究の結果より、LR11が肺高血圧症の血管病変の診断及び治療のバイオマーカーになる可能性が示唆された。
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