研究課題
本研究は心臓リハビリテーションによって冠動脈CT造影上のプラークの質がどのように変化するかを検討するものである。我々は既に冠動脈のプラーク量、プラーク性状をより客観的、定量的に評価できるLabeling method を用いたplaque 解析softwareを開発しているが、本年度はその技法を用いて、プラーク成分面積を解析した。12名が研究登録した。男性10名、平均年齢は64±9歳、冠動脈硬化症の病型に関しては、急性冠症候群が2例、労作性狭心症が3名、冠動脈硬化症が6名、無症候性心筋虚血が1例であった。標的血管は左前下行枝が8例、左回旋枝が2例、右冠状動脈が2例であった。冠危険因子は高血圧症が7名、糖尿病が3例、脂質異常症が9名、喫煙が2名であった。ベースラインの脂質データは、TG値164±125mg/dl、HDL-C値52±8mg/dl、LDL-C値105±42mg/dlで、空腹時血糖値は104±15mg/dl、HbA1c値は6.4±1.4%であった。運動耐容能に関しては、Peak VO2 20.6±3.9ml/kg/minであり、心肺運動負荷試験より求めた嫌気性代謝閾値(12.8±2.5ml/kg/min)より、約3.6メッツの有酸素運動を指示した。運動実施状況として日常活動度は、9633±3847歩/日であった。1年後フォロー冠動脈CTを2名実施した。プラークの解析が可能であった1例の結果を提示する。標的血管は左前下行枝であり、Labeling method を用いたplaque 解析では冠動脈プラーク体積は871mm3→644mm3、脂質成分は13.5mm3(1.5%) →8.2mm3(1.2%)と、量的にも質的にも改善を認めており、プラークの質の評価も可能であった。今後は残りの症例の1年後の冠動脈CTを解析し、介入の効果を検討していく予定である。
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