研究課題
コレステロール引き抜き能と抗酸化能アッセイを確立後、臨床検体を測定し、HDL機能やそれを司るHDLの質の臨床的意義、すなわち心血管病予防効果について明らかにする研究を進めている。住民コホート(吹田研究、平均年齢59歳、追跡期間の中央値11.1年)1,815名分のHDL機能を測定した結果、コレステロール引き抜き能低下は全心血管疾患イベントおよび脳卒中、脳梗塞発症の独立したHDL-C値より強い動脈硬化性疾患予測因子となることを明らかにした。特に脳卒中とコレステロール引き抜き能の関連は今までに無く、欧米に比較して脳卒中患者の多い日本人において、コレステロール引き抜き能の低下は重要なリスクである可能性を示唆する結果を得た。この成果は欧州動脈硬化学会および日本循環器学会(Featured Research Session)で採択され、発表を行った。現在論文もほぼ完成し、投稿準備段階である。さらに新規HDL機能測定系の確立を目指し、血管内皮細胞を利用した抗炎症作用測定法と、新たな抗酸化能としてパラオキソナーゼ/アリルエステラーゼ活性測定法を確立し、多検体解析を開始した。一方、コレステロール引き抜き能は確かにHDL-C値よりも有用なサロゲートマーカーであることを家族性高コレステロール血症(FH)患者や住民コホートで明らかにしてきたが、測定に培養細胞や各施設のプール血漿を用いるために臨床検査として標準化が困難であるという課題に直面した。これを解決するためにHDL機能を規定する因子の探索を開始している。これらの活動により、日本動脈硬化学会英文誌からの総説執筆の依頼や日本臨床化学会、日本生物工学会(学際的脂質創生研究部会)、日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会等からシンポジウム講演の招待もいただき、一部の学会ではすでに発表を行った。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件) 備考 (2件)
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