炎症は慢性心不全の基盤病態である。近年、アラキドン酸(AA)応答性CaチャネルとしてOrai3が同定され、炎症で誘発するイオンメカニズムの解析が可能となった。本研究は、炎症性心筋細胞障害でのOrai3チャネルの役割および炎症物質による血管内皮機能制御でのOrai3チャネルの関与を明らかにすることを目的とした。ノックアウトマウスを用いた動物実験と、細胞レベルでのCa流入実験によりOrai3シグナルは慢性心不全の病態に関与することが示され、さらに、そのメカニズムにAAおよび炎症制御物質である一酸化窒素(NO)が関わる可能性が示された。今後、心不全の新たな治療法につながる結果と考えられる。
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