研究課題
BNP濃度が約35000pg/mLと著明に高い症例を経験し, BNP免疫活性の殆どがproBNPである事を我々の開発したproBNP測定法で確認した。さらにポリエチレングリコールによる沈殿法でproBNP濃度は1.3%と低下、proteinGカラムを通すと3.3%と低下。ゲル濾過法で、proBNPの免疫活性はIgGよりも少し大きい位置に溶出した(約150kDa)。さらにpH3のelution bufferにするとIgGははずれ、本来のproBNPの溶出位置に溶出したことからBNP免疫活性著明高値の原因としてproBNPにIgGが結合したmacro-proBNP血症によるものと考えられた。NT-proBNPも約3万pg/mLと高値を示したが、pH3のelution bufferでIgGをはずすと約40万pg/mLと増加した。このことはNT-proBNP値はproBNPを交差しての値であり、IgGの付着はNT-proBNP測定系の抗体の認識を抑制している事が示唆された。この世界初の症例をmacro-proBNP血症として報告した。我々が開発したproBNP、total BNPの測定系を用いて、急性心不全症例の経時的変化とその意義に付いて国立循環器病センターと共同で検討した。入院時重症の急性心不全ではproBNP/total BNP比は軽症例に比べて上昇し、生物学的活性の指標であるcGMP/total BNP比も軽症例に比べ低下していた。重症例ではこの指標は経過を通して不変であったが、軽症例ではこの指標は経過を通して増加した。これらの結果から急性心不全の軽症例ではproBNPのプロセシングの亢進を介して活性のあるBNPを増やす事で心不全病態を代償している可能性が示唆された。一方重症例ではこの代償機序が障害されていて、心不全の神経体液性因子の悪循環が生じている可能性が示唆された。
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