研究課題
これまでの研究において、オートファジーと呼ばれる、酵母から哺乳類まで普遍的に保たれている細胞内分解機構が心筋細胞内ミトコンドリアの恒常性を維持することで、 圧負荷などのストレス適応や加齢性変化において心保護的に資することを明らかにしてきた。さらにAtg5依存性のオートファジーによる細胞内分解系は、心肥大以後の刺激除去に際しての肥大退縮に代表される逆リモデリングに関わることを明らかにしてきた。本研究では、まず逆リモデリングに関する機構解析を行うためのモデル樹立を行った。in vivoの評価系として、アンジオテンシンII持続投与後の心肥大退縮モデルならびに横行大動脈縮窄圧負荷心肥大手術後の圧負荷解除による心肥大退縮モデルを作成し、いずれにおいても心臓逆リモデリングが評価可能であることを確認し、モデル樹立に成功した。オートファジー抑制因子Rubiconの心筋細胞特異的欠損マウスを作出解析した結果、野生型と比し血行動態ストレスによる有意な心臓表現型を認めた。同マウスでは、野生型と比しミトコンドリア形態の変化を見出した。またミトコンドリア分裂の必須因子であるDrp1の変異体を心筋細胞特異的に発現させる遺伝子改変マウスを作成・解析した。この目的に資する2系統のマウスを作出し、血行動態負荷によるリモデリングおよび逆リモデリングに与える影響の検討を行った。さらに、ミトコンドリア特異的オートファジーであるマイトファジー必須因子の酵母Atg32のほ乳類機能的ホモログ候補として同定したFKBP8についても、Cre-loxP システムによる心筋特異的欠損マウスを作製・解析し、ストレス応答において心臓保護的に機能していることを明らかにした。
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J Mol Cell Cardiol.
巻: 114 ページ: 93-104
10.1016/j.yjmcc.2017.11.004