研究課題
後天性の心不全やカテコラミン誘発性多形性心室頻拍症(CPVT)の心筋型リアノジン受容(RyR2)の点突然変異病においては、心筋細胞内のCa2+貯蔵庫である筋小胞体(SR)膜上のRyR2からの拡張期Ca2+漏出が認められる。この拡張期Ca2+漏出は、心筋細胞の収縮・拡張不全および致死的不整脈の大きな原因である。一方、我々は、骨格筋型リアノジン受容体(RyR1)の点突然変異病である悪性高熱症は、ダントロレンのRyR1への結合により、RyR1からのCa2+漏出が抑制されることを解明した。ダントロレンの心筋型リアノジン受容体(RyR2)における結合部位はRyR1と全く同じアミノ酸配列であるため、ダントロレンは心疾患に対しても有効であることが予測される。そこで、「慢性心不全におけるダントロレンの予後および心室性不整脈に与える効果と安全性を評価する多施設ランダム化二重盲検(SHO-IN Trial:UMIN 28766)」が、2017年11月山口大学IRBにて承認されたため、臨床試験を開始した。本計画は医師主導型の中国地方、四国地方を含む20施設からなる、ダントロレン、プラセボを用いた2重盲検試験である。対象は左室駆出率40%未満の慢性心不全患者で(1年以内に心不全により入院歴がなければ、BNP150pg/ML以上、1年以内に入院歴があればBNP100pg/ML以上)、主要評価項目は、心血管死、心不全増悪による入院、致死的不整脈による複合エンドポイントである。評価期間は2年である。また、マウス大動脈縮窄モデルおよびin vitro圧負荷培養ディシュチャンバーを用いて、圧負荷によるCa2+漏出の機序解明を行った。さらに、ダントロレンが、このCa2+漏出を抑制することによって圧負荷肥大心の左室拡張障害を改善することを実験的に証明した。
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Heart Rhythm
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