研究課題
HMGB1-TGマウスとWTマウスに放射線照射後、GFPマウスの骨髄を移植した。骨髄が生着したのを確認した後、ストレプトゾトシンを腹腔内投与した。2~4週後に採血して血糖を測定し、高血糖が持続し糖尿病となっていることを確認した。その後、冠動脈左前下行枝を結紮し、心筋梗塞を作成した。糖尿病マウスでは血中のDPP4活性が上昇しており、心筋梗塞後の血中HMGB1濃度の上昇は見られなかった。また、糖尿病マウスではHMGB1-TGマウスとWTマウスの間に骨髄由来EPC数、心筋梗塞サイズ、梗塞周囲のcapillary density、骨髄由来血管内皮細胞数に差異を認めなかった。次に糖尿病マウスにDPP4阻害薬を投与した。DPP4阻害薬投与により、血中のDPP4活性が十分に抑制されたことを確認した。その後、冠動脈左前下行枝を結紮し、心筋梗塞を作成した。DPP4阻害薬投与下では、心筋梗塞後の血中HMGB1濃度が上昇したことから、HMGB1がDPP4の基質であることが示唆された。DPP4阻害薬を投与した糖尿病HMGB1-TGマウスでは、DPP4阻害薬を投与しない糖尿病HMGB1-TGマウスに比較し、心筋梗塞サイズの縮小が認められた。また、血中の骨髄由来EPC数の増加、梗塞周囲のcapillary densityの増加、梗塞周囲の骨髄由来血管内皮細胞数の増加、VEGFの発現増加が認められた。糖尿病では、活性化したDPP4によりHMGB1が分解され、その作用が減弱していたが、DPP4阻害薬投与により、HMGB1による骨髄からのEPCの虚血部位への誘導と集積、血管新生効果が心筋梗塞サイズの縮小に関与したと考えられた。
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