研究課題/領域番号 |
15K09151
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
長内 智宏 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (00169278)
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研究分担者 |
奥村 謙 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (20185549)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | aging / coupling factor 6 / acidosis / lamina / inhibitory factor 1 |
研究実績の概要 |
目的:Mitochondrial inhibitory factor peptide 1 (IF1) が心血管作動性coupling factor 6の内因性阻害物質として作用するか否かについてHEK-293細胞を用いて検討した。
方法・結果:IF1発現ベクターを作製し、更にC末端側にGFPをコードした発現ベクターも作製した。IF1-GFP過剰発現細胞では24時間後にミトコンドリア膜が発色し、48-72時間後には細胞膜の発色も観察された。更に培養上清からexosome画分を抽出し、Western bolt法によりIF1を染色すると、IF1の過剰発現によりIF1の分泌が生じることを確認した。HEK-293細胞にCF6 10-7Mを添加すると培養上清のATPは減少したが、IF1過剰発現細胞では減少しなかった。また、BCECFを用いて細胞内pHを観察すると、CF6 10-7M添加直後から細胞内pHは減少したが、IF1過剰発現細胞では減少が見られなかった。Annexin V-PI法で細胞apoptosisを測定すると、CF6 10-7M添加によりHEK-293細胞のapoptosisは増加したが、IF1過剰発現細胞では増加しなかった。CF6のapoptosis 促進作用はAktのリン酸化の抑制を介したが、IF1の過剰発現細胞ではCF6の添加でAktのリン酸化は抑制されなかった。
結論:IF1はCF6の作用を細胞膜ATP合成酵素のF1分子モーターレベルで阻害し、内因性阻害物質として機能する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、IF1はCF6の作用を細胞膜ATP合成酵素のF1分子モーターレベルで阻害し、内因性阻害物質として機能する可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
CF6の核膜構成蛋白ならびに核クロマチン構造に及ぼす影響:CF6過剰発現マウス由来心線維芽細胞と野生型マウス由来心線維芽細胞並びにCF6投与した野生型マウス由来細胞の核膜ラミナ構成蛋白発現とhistone methylation, acetylationをWestern blot法で検討する。 CF6の老化機序の検討:Autophagy関連分子の蛍光免疫染色とhistone修飾によるAtg7発現調節機構をCHIP assay法で解明する。 IF1のCF6老化促進機構に及ぼす影響:IF1発現ベクターをtransfectionしたCF6過剰発現マウス由来心線維芽細胞を用いて、核膜ラミナ構成蛋白発現とhistone methylation, acetylation, autophagyに及ぼす影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行状況から必要最低限の物品を購入したため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
CF6の核膜構成蛋白ならびに核クロマチン構造に及ぼす影響及び老化機序の検討のため、試薬等を購入する予定である。
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