研究課題
薬剤投与によりFoxp3陽性制御性T細胞(Treg)を特異的に減少させることのできるマウス(DEREGマウス)と動脈硬化モデルであるLDL受容体遺伝子欠損マウスとを交配した。このマウスにおいて、Tregの減少により全身でのヘルパーT細胞の活性化を認め、大動脈の炎症が惹起されることにより動脈硬化形成が促進されることが明らかになった。海外の研究グループによる報告と異なり、Tregの減少は血液中の脂質には影響を与えなかった。Tregは高コレステロール血症に伴う炎症免疫応答を制御することにより、動脈硬化病変の形成抑制に寄与することが明らかになった。アンジオテンシンⅡ誘導性のマウス大動脈瘤モデルを用いて、皮膚へのUVB照射による腹部大動脈瘤抑制効果の検討を行った。動脈硬化モデルアポリポ蛋白E遺伝子欠損マウス(Apoe-/-)に6週齢から高コレステロール食事負荷を行い、12週齢から浸透圧ポンプによるアンギオテンシンⅡ持続皮下投与を行った。10週齢から週に1回のUVB照射を行い、16週齢にて生存率と大動脈の形態を評価した。UVB照射マウスでは、非照射マウスと比較して大動脈瘤破裂による死亡ならびに大動脈瘤の発症が有意に抑制された。UVB照射マウスでは皮膚流入領域リンパ節および脾臓において、活性化されたFoxp3陽性Tregの増加を認めた。大動脈瘤病変部では、UVB照射はCD4陽性T細胞およびマクロファージの集積を抑制した。DEREG/Apoe-/-マウスを用いてFoxp3陽性Tregを全身性に選択的に除去した結果、UVB照射による大動脈瘤発症・破裂の抑制効果は消失した。UVB照射はFoxp3陽性Tregを誘導することにより、大動脈瘤病変部における炎症・免疫応答を抑制し、大動脈瘤の形成および関連死亡を抑制することが示された。
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http://www.kobepharma-u.ac.jp/edrs/faculty_member_list/medical_pharmaceutics.html