研究課題/領域番号 |
15K09157
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
三好 亨 岡山大学, 大学病院, 講師 (70444651)
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研究分担者 |
中村 一文 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10335630)
米澤 朋子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30304299)
吉田 賢司 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (70532761)
伊藤 浩 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90446047)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腹部大動脈瘤 / integrin / extracellular matrix |
研究実績の概要 |
1.ヒト大動脈瘤組織におけるα1インテグリンの発現と細胞外マトリックス分解の関連の検討:ヒトの大動脈瘤組織でのα1インテグリンの発現を検討するために、免疫染色を行った。α1インテグリンは動脈瘤組織で発現が増加していた。現在、発現細胞を同定するための免疫染色を追加している。 2.α1インテグリンを介する炎症性遺伝子ネットワークの解明:腹部大動脈瘤の作成のためにα1インテグリン欠損マウスとApoE欠損マウスを交配し、二重欠損マウスの作成を行った。α1インテグリン/ApoE欠損マウスに対して、アンジオテンシンIIの皮下投与を行うと、約4週間で腹部大動脈瘤が作成されるが、その頻度はコントロールであるApoE欠損マウスに比較して有意に低かった。さらに、4週間の生存率をみると、α1インテグリン/ApoE欠損マウスで有意に生存率がよく、破裂の頻度が低いことが分かった。α1インテグリン/ApoE欠損マウスとコントロールであるApoE欠損マウスの遺伝子発現を比較したところ、サイトカインで有意なものがあった。そのサイトカインは動脈瘤についての検討はこれまでないため、炎症や細胞外マトリックスに対してどのような影響があるかを、細胞実験にて検討している。 3.α1インテグリンを標的とした分子イメージングならびに大動脈瘤進展抑制療法の基礎的検討:まず、α1インテグリンに対する抗体を用いた大動脈瘤の進展予防実験を計画し、現在進行中である。週3回の抗体の腹腔内注射にて、α1インテグリンをブロックし、遺伝子欠損マウスと同様の結果が得られるかを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
α1インテグリン欠損マウスとApoE欠損マウスの交配によって作成したダブルノックアウトを用いでアンジオテンシンIIの皮下投与による腹部大動脈瘤の作成も順調に進んでいる。ApoE欠損マウスを対照群として、腹部大動脈瘤の遺伝子発現について、さらに詳細に検討を行っている。マイクロアレイを行い、新規のサイトカインの発言を同定した。また、細胞外マトリックス分解酵素についても検討中である。インテグリンα1から下流のシグナルについては現在、網羅的にウエスタンブロットを行っており、ターゲットとなる分子を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロアレイのデータの確認を行い、インテグリンとサイトカインの関連を細胞培養の実験も同時に行いながら、下流のシグナル伝達経路を明らかにしていく。細胞培養では、血管平滑筋のみならず、内皮細胞、マクロファージなど異なる細胞種を用いて、それぞれにおけるインテグリンの炎症における意義を明らかにしていく。 また、同時にインテグリンα1抗体による大動脈瘤進展予防実験の計画を具体化し、できるだけすみやかに準備をおこなっていくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は情報収集のための国内旅費の経費が必要なかった。そのため次年度に繰り越しとした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、リポソームを使った生体分子イメージングや薬物送達システム開発を計画している。リポソームの作成、修飾などに、これらに研究費を使用する予定である。また、α1インテグリン抗体の作成を依頼しており、これらの購入にも研究費を使用する予定である。
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