肺原発肉腫様癌においては化学療法の効果に関して前向きの検討がされておらず、これを調査することは本腫瘍に対する治療エビデンスを確立していくうえで重要である。さらに肺原発肉腫様癌のバイオマーカーなど分子生物学的因子も今までほとんど解析されていない。本研究では、肺原発肉腫様癌を集積する前向き臨床試験の付随研究としてタンパク発現や遺伝子異常を探索して、臨床的項目や治療効果との関連性を検討することを目的としていた。 すでに多施設共同臨床試験として、組織学的に肺原発肉腫様癌すなわち「多形、肉腫あるいは肉腫成分を含む癌」と診断された症例を30例集積して、カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブまたはカルボプラチン+パクリタキセルの効果を検討する臨床試験を すでに遂行中である(北海道肺癌臨床研究会/北東日本研究機構 Intergroup study、HOT1201/NEJ024、UMIN000008707)。 しかしながら希少癌ゆえに登録に難渋しており、平成28年度末までに15例と目標の半分まで到達できた。その後も症例集積に難渋しており、残念ながら1年前の報告より変わっておらず15例のままでとどまっている。そこで登録機関を本年9月末まで延長して、少なくとも20例程度まで集積できるように参加施設への定期連絡や研究会での周知に努めてきた。 並行して主研究であるHOT1201/NEJ024の参加施設に本課題研究の研究計画書と同意説明文書を平成28年度に配布して、各施設での倫理審査をすすめてきた。ただし登録自体に難渋しており、まだ検体集積には至っておらず、パイロット的にNGS解析のvalidationを検証する程度までしかすすんでいない。振り返ってみて反省すべき状況と考えている。しかし本課題研究をベースにして、今後20例程度集積された場合には本解析を行ってきちんと発表していく予定である。
|