研究課題
今年度は、肺癌検体における、KRAS遺伝子変異とNamptの発現レベルの評価をする為、臨床検体組織の解析を行った。まず、適切な手順を踏んで評価の実験プロトコールを作成した。臨床検体を扱うにあたり、倫理審査委員会の承認を得た。解析を行う症例をピックアップして、KRAS遺伝子変異の解析を行った。解析にはIon PGMシステムによる次世代シークエンサーを用いた。Colon & Lung cancer panelを用いてKRASを含む癌遺伝子の解析を行った。臨床検体は手術検体及び気管支内視鏡生検検体のホルマリン固定パラフィン包埋切片を用い、DNAを抽出した。ホルマリンによる遺伝子配列の修飾も予想された為、その修飾を除去できるようなキットを用いて検体から核酸を抽出した。手術検体からは良質な、十分量のDNAを抽出することができたが、気管支内視鏡生検検体の一部では、DNA量が少なかったり、質が次世代シークエンサーに不適切であるようなものもあった。この原因を突きとめて改善を測る為、生検検体の細胞数や、ホルマリン固定の時期、抽出処理時間の工夫などを行ったが、結果、細胞数が少ない場合は、その他の条件を適切に整えたとしても、次世代シークエンサーの解析に耐えうる良質なDNAが抽出できないことが判明した。以上から、当初予定していた解析数を増やすことを検討することとした。
3: やや遅れている
臨床検体の解析に関して、次世代シークエンサーを用いた。実験プロトコールが確立するまで想定より、時間を要した。この為、当初予定していたin vitro実験の進行も遅れることとなった。
引き続き、肺癌臨床検体におけるKRAS遺伝子変異を次世代シークエンサーを用いて解析する。前述の通り、検体によっては十分なDNA量が確保されないケースがあることが判明した為、その対応策として、サンプル数を増やして解析を進めることとした。KRAS遺伝子変異の解析を行ったのちにNampt遺伝子の発現を評価していくが、研究の進行が予定よりも遅れている為、評価の効率化を測ることとした。Digital PCR (QuantStudio 3D, ThermoFisher)を用いてNampt遺伝子の発現を解析する。また、細胞培養実験で得られた成果の再現性を検証すべく、引き続きin vitro実験を行なっていく予定である。
年度を越えて納入する試薬等が発生したため。
次年度に繰り越して使用する。
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