KRAS遺伝子変異を有する肺癌に対して、Nampt阻害剤の抗腫瘍効果とそのメカニズムを検証した。複数の肺癌細胞株を用いた実験の結果、Nampt阻害剤の効果に関して、治療に感受性のある群、薬剤抵抗性の群、中間の群に分けられることが明らかとなった。また、その作用メカニズムを検証した結果、Nampt阻害剤が、①Rbタンパクのリン酸化を抑制すること、②MAPKシグナル経路を抑制すること、③Bimタンパクのリン酸化を抑えること、④γH2AXの発現を亢進させ、DNA傷害を引き起こすこと、を突き止めた。さらに次世代シークエンサーを用いて、KRAS遺伝子変異を有する肺癌症例を同定するシステムを構築した。
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