研究課題
本研究は,サルコペニアCOPDの身体活動量(Physical activity: PA)を新しい方法で評価することを目的とした.バランスの新しい評価法として,Short Physical Performance Battery (SPPB)とOne Leg Stance Test (OLST)を採用した.次に.サルコペニアCOPD患者におけるSPPBとOLSTの有用性,バランス能力とPAとの関係性を検討した.対象は,市立秋田総合病院外来に通院している安定期サルコペニアCOPD患者10名 (年齢: 69.3±7.5 y.o.,BMI: 21.2±2.2kg/m,VC: 3.33±0.62L,%VC: 91.5±14.1%,FEV1: 1.39±0.66L,%FEV1: 49.8±22.9%)とした.PAの評価には1軸加速度計であるLife Corder GS4 (スズケン社製)を用いた.評価期間は2週間とし,1日ごとの歩数の平均値をPAとして採用した.結果(平均±SD)は,OLST:35.9±20.6秒,SPPB:10.6±1.6点,歩数:5510.9±4742.2歩,WBI:65.3±16.8%,6MWD:428.1±176.5m,CAT:14.3±5.6点であった.歩数と有意な相関を示したのは,OLST (r=.873,p=.005),SPPB (rs=.728,p=.041),VC (r=.788,p=.036),FVC (r=.798,p=0.031)であった.回帰分析では,独立変数としてOLSTが抽出された.以上の結果より,サルコペニアCOPD患者においては,バランス能力とPAに深い関連があり,さらに,PAの評価には加速度計,バランス能力の評価にはSPPBが評価法として有用であることが示唆された.
2: おおむね順調に進展している
3年計画の1年目であるが,概ね順調にデータの集積と解析ができている.2年目は症例数のさらなる組み入れることに努める予定である.
平成28年度は栄養療法および低強度療法の併用プログラムの検討を行う.呼吸困難感を指標とした運動療法の効果を検討する目的で,サルコペニアCOPD患者において呼吸困難感を指標とした運動療法の検討とメカニズムを明らかにする.次に,抗炎症作用が証明された成分を含む補助食品を用い栄養補助療法を併用して運動療法を行い,その効果を検証する.次に,在宅における継続率を上げるためのリハプログラム作成するために,在宅における継続性の高いリハプログラムの検討する.まず,身体活動量,ADL,健康関連QOL,在宅実施率,などの測定を行い,継続性の高いリハプログラムに関して検討する.さらに,高齢•重症の身体活動量の評価とリハ・プログラムの効果の検証として,平成27年度の研究成果をもとに,実施率・継続率の最も有効なプログラムを作成実施する.本プログラムによる呼吸リハ施行後の健康関連QOL,ADL,医療費の削減効果,生存率の延長などを検討する.最終年度の平成29年度には,在宅栄養リハビリ・プログラムの普及とその効果の検証を目的とする.平成28年度の研究で確立された在宅呼吸リハ・プログラムの普及に努め,サルコペニアCOPD患者における栄養療法と低強度運動療法併用の身体活動量,呼吸機能,運動耐容能,QOL・ADLに及ぼす効果に関して秋田県内の関連施設において検証する
研究成果を発表する学会出張が少なかったためである.次年度は,研究成果を発表するために,学会出張を多くする予定である.
当該年度は研究成果を発表する学会出張が少なかったため,次年度は,積極的に研究成果を発表することとし,学会出張回数を多くする予定である.
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日本呼吸ケア・リハビリ学会雑誌
巻: 26 ページ: 57-63
巻: 26 ページ: 26-32
Respiratory Medicine
巻: 109 ページ: 364-367
10.1016/j.rmed.2015.01.008