研究課題
本研究は,サルコペニアCOPDにおいて,呼吸困難感を指標とする低強度運動療法および抗炎症作用を有する補助食品を併用する栄養リハビリの有用性を明らかにすることを第一の目的とした.次に,包括的なプログラムを作成し,栄養リハビリによりCOPD患者における運動耐容能,身体活動性,HRQOL,ADLを向上させることを第二の目的とした.サルコペニアCOPD患者において,栄養リハビリとしての運動療法と栄養補給の併用効果を検証した.対象者に対して栄養補助療法と運動療法を12週間行い,介入前後に行った諸指標を比較検討した.評価項目は,3日間食事調査,身体組成測定,生化学検査,呼吸筋力ならびに大腿四頭筋筋力測定,6分間歩行距離試験,健康関連QOL(CRQ)である.食事調査は,参加者に連続した3日間の食事を目安量記録法で記入してもらい,その食事記録から摂取エネルギー量を算出した.%TSF,%AC,%AMC算出は,日本人の新身体計測基準値(JARD2001)を基準とした.さらに,同データからCOPDの病期分類別の検討も行った.その結果,栄養療法および運動療法併群において,エネルギー充足率と%TSF,プレアルブミンが有意に増加した.さらに,COPDの病期分類別の比較では,軽中症群のFFMIが有意に増加し,重症群では体脂肪率が有意に増加しTNF-αが有意に減少した.次に,安定期COPD患者において,加速度計を用い1日の歩数をフィードバックしながら栄養リハビリを1年間実施したところ,1日の歩数,立位・歩行時間,歩行速度,姿勢変換回数などの身体活動が有意に向上した.本研究の結果,低強度運動と栄養補給の組み合わせは,経過中にエネルギー消費量増加と摂取量低下により体重減少を来すサルコペニアCOPD患者に対する有効な治療選択の一つであり,さらに,栄養リハビリの果たす役割が非常に大きいことが示唆された.
すべて 2017
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