研究課題
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は近年その患者数が増加している疾患である。わが国におけるCOPD の主たる原因は喫煙であるが、日本人一般住民の喫煙率は米国と比較して著しく高い。また、COPD は発症までには通常長期間の喫煙歴が必要とされるため、高齢者に多い病気となっている。わが国は急速な超高齢化社会を迎えており、COPD 患者数は今後ますます増加し、わが国にとって非常に重大な問題となることが予想される。このような状況に鑑み、第2 次健康日本21 において、がん、糖尿病、循環器疾患に次ぐ第4 の疾患としてCOPD が取り上げられるに至った。今後のわが国におけるCOPD 対策を立案するための基礎資料として、また、わが国と他国の比較を行ううえで、COPD の有病率を知ることは非常に重要である。しかし、わが国の住民の多くが居住する都市部での研究結果はほとんどない。そこで、地域住民から無作為に抽出された一般住民を対象とした疫学研究(Population-based study)により、気管支拡張薬吸入後のスパイロメトリーを用いてCOPD の有病率を明らかにする事が非常に重要である。また、全身性炎症疾患と言われるCOPD と動脈硬化性疾患との関係を明らかにする事も重要な課題である。そこで、滋賀県草津市在住の40歳以上の一般男性住民を対象として行われている疫学研究(Shiga Epidemiological Study of Subclinical Atherosclerosis= SESSA 研究)において、約500名を対象として呼吸機能検査や脳MRI検査を行った。その結果、約15%がCOPDであると考えられた。また、非喫煙者においては、呼吸機能の低下と、潜在性動脈硬化指標である脳MRI検査における白質病変やラクナ梗塞が増加する傾向があることが明らかとなった。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis
巻: 25 ページ: online
10.5551/jat.42127