前年度までの検討により、巨視的構造的変化(小動物CT画像解析)の不均一性と、呼吸インピーダンス測定から導き出された不均一性の定量指標との関連性についての検討を追加した。前年度学会で発表したとおり、全肺のエラスタンス(H)だけではなく、エラスタンスの不均一性(CV-H)が構造の多様性を反映していることが示されたが、従来無かった指標として、現在他の疾患モデルにおいても適応可能かどうか、解析を行っている。 また、検討の過程で見出されたこととして、肺気腫病変はalveolar attachmentsの減少により、気道の支持力低下につながるため、気道系の指標(CV-Raw、もしくは気道壁のCompliance)にも寄与して居る可能性が示唆された。現在サンプルを増やして解析している。(同時に、本件の論文執筆中)同じことが傷害誘導後13週のモデルマウスに言えるのかどうか、十分な数の検討を行うことで評価を行った。13週に至るまで、経時的にコンプライアンスは上昇し続けるが、推定した機能的なバラツキはむしろ低下する方向にあり、これは経時的に撮影したCTでの同一個体における気腫性変化のバラツキも減少していく傾向と合致していた。気道の要素も加味し関連性を解析することで、肺気腫患者における機能と形態の関連に知見が得られると考えている。 問題点として、当初予定していた多光子励起レーザー走査型顕微鏡による画像取得の達成には至って居らず、作成した病理標本は形態計測などを行った。病理標本の評価法については、新たに比較的巨視的な形態の不均一性を評価する新たな指標を創出し、可能であれば気道の支持力を評価する方法もTanabeらの方法を応用して現在解析を進めている。これについては追加検討を加えて、呼吸インピーダンス測定の結果と併せて評価を進めている。
|