研究課題/領域番号 |
15K09173
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡 芳弘 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招へい教授 (20273691)
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研究分担者 |
武田 吉人 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40452388)
大塚 倫之 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (20730576)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | WT1 / 癌抗原 / ペプチドワクチン / 肺癌 / 胸腺腫瘍 / 癌免疫動態 |
研究実績の概要 |
我々は、先行研究により、癌抗原WT1由来のWT1-126ペプチド(9-mer)はマウスMHC class IのH-2Db拘束性にマウスWT1特異的細胞傷害性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocyte, CTL)を誘導できることをすでに示している。癌抗原WT1特異的な免疫応答を分子生物学的により詳細に解析することを目的として、H-2Db 分子に提示されるWT1-126ペプチドを認識できるT細胞レセプター(T cell receptor, TCR)の遺伝子クローニングを試み、その結果、2種類のそのTCRの遺伝子クローニングをすることができた。そのうちの1種類のTCRを発現させたCD8陽性Tリンパ球は、内因性にWT1を発現する腫瘍細胞に対してCTL活性を示した。つまり、そのTCRは、生体内に存在するWT1発現細胞が細胞表面に提示するWT1-126ペプチドを認識できることが示された。これにより、WT1特異的T細胞応答の動態解析をさらに詳細に行うことが可能になったと考えられた。また、WT1を標的としたTCRを用いた免疫遺伝子治療のモデルマウスの構築が可能になった。 呼吸器領域腫瘍(肺癌、胸腺腫瘍)を含む種々の領域の難治性悪性腫瘍を有する患者に対して、WT1ペプチドワクチンを用いた免疫治療を継続的に行った。そして、その治療を受けた患者から癌免疫応答の解析のための検体(末梢血単核球や血清など)を得、保存した。また、今までに蓄積された患者検体の一部を用いて、癌免疫応答に関する解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
WT1特異的免疫応答をさらに詳細に解析することに役立つと思われる「マウスH-2Dbに提示されるWT1ペプチドを認識できるTCR」の遺伝子クローニングをすることができた。 WT1ペプチドワクチン臨床試験を継続的に続行することができ、また、それにより、癌免疫応答を解析するための貴重な臨床検体をさらに蓄積することができた。さらに、これらの臨床検体の一部を用いて、癌免疫応答に関する解析を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果をもとに、癌免疫動態の解析を、癌抗原WT1をモデル抗原として推し進める。マウス実験とヒト検体を用いた実験の両面で、研究を進めていく予定である。また、WT1ペプチドワクチンを用いた癌治療の臨床試験も継続して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定していた必要量の試薬より少ない量の試薬で期待した結果が得られたため。予定していた学会に参加できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度以降の試薬購入、情報収集のための学会出張などに使用する。
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