研究課題
WT1ペプチドワクチンを投与した時に誘導される免疫応答を解析できるin vivoマウス実験系をすでに有している。それを用いて、癌抗原特異的免疫応答に関する解析を継続的に行った。また、WT1特異的ヘルパーTリンパ球を誘導できるマウスWT1ヘルパーペプチドの同定を目指す実験を行った。これらの実験は、癌抗原を標的にした免疫療法を発展させるためであり、実際に、次に述べるような臨床研究を行った。呼吸器領域の悪性腫瘍に対して、WT1ペプチドワクチン臨床試験を継続的に行った。その中で、前治療抵抗性の胸腺悪性腫瘍(胸腺癌や浸潤性胸腺腫)に対して行った臨床試験の結果を論文発表した。ワクチン投与後3か月間の評価で、多くのstable disease (SD)症例が得られた。画像的に腫瘍の縮小が観察された症例もあった。ワクチン治療後に病勢の安定化などがみとめられた場合は3か月以降もワクチン治療を続行し、長期間のワクチン治療を続行できた症例が存在した。また、ワクチン開始後、WT1特異的な免疫反応の誘導が多くの症例でみとめられた。このように、WT1ペプチドワクチンは胸腺悪性腫瘍の治療に有用であることを示唆する結果を得た。将来、呼吸器領域・胸部悪性腫瘍の免疫治療につながる可能性のある成果として、同じく固形癌である膵臓癌に対する「化学療法とWT1ペプチドワクチン併用療法」の有望な結果を得た。この臨床試験で、stage IVの患者で、コントロール群(化学療法のみ)に比べて、併用群(化学療法+WT1ワクチン)のPFSが有意に良好であった。ランダム化した2群の臨床試験で癌抗原ペプチドワクチンの優位性を示したのは、この結果が世界で初めてであり、論文発表した。
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